中国各地で異常気象が相次いでいる。7月下旬、内モンゴル自治区では1956年以来の記録的な豪雨とそれに伴う洪水が発生し、乾燥地帯である砂漠にまで雹(ひょう)が降るという、前代未聞の事態に見舞われた。
暴風雨は3日間以上続き、総降水量はわずか数日で年間平均の6割を超えた。各地で洪水も発生し、なかでも大草原が冠水するという、内モンゴルの歴史でも例を見ない異常現象を確認した。

映像には、草原全体が湖のように水に覆われ、住民が羊や牛を連れてボートで避難する姿が映っていた。これは通常の内モンゴルでは、まず見られない光景であり、気象学的にも極めて異例な事態である。
(水に覆われた大草原。2025年7月下旬、内モンゴル自治区にて)
首府フフホト市では、北部の山間部から押し寄せた水が市街地を襲い、立体交差橋の下にあった車両が次々と水没し、赤峰市では家屋が半分まで水に浸かり、屋根に避難して取り残された住民の姿も報告されている。

こうした極端な気象現象は、内モンゴルにとどまらず、7月29日には四川省成都市で最高レベルの高温警報が発令された猛暑の中で、巨大な雹と暴風雨が同時に発生。さらに、道路の中央に空から「水柱」が降り注ぐという謎の現象まで確認され、SNSでは「これは天の警告だ」との声が広がった。
現在、中国北部では広範囲にわたって洪水が拡大しているが、地方当局は情報封鎖に動いており、特に内モンゴルの洪水については中国本土のメディアもほとんど報じていない。人々の不安が高まるなか、政府の情報統制への懸念も強まっている。

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