米国はビザ発行停止 日本は要件緩和 外国人運転手めぐり対応が分かれる日米

2025/08/22 更新: 2025/08/23

米トランプ政権は、商用トラック運転手に対するすべての労働ビザの発行を即時停止する。マルコ・ルビオ国務長官は8月21日、Xへの投稿でこの決定を明らかにした。

「アメリカの道路を走る大型トラックの外国籍運転手が増加しており、アメリカアメリカ人の命を危険にさらし、国内トラック運転手の生計を脅かしている」と指摘した。

この措置は、トランプ米大統領が外国籍運転手の英語力不足への懸念に対応する一連の政策の一環である。

2025年4月、トランプ氏は、アメリカの商用運転手に英語力基準の順守を求める大統領令に署名した。背景には、8月12日にフロリダ州で発生した死亡事故の調査がある。インド出身の男性トラック運転手、ハージンダー・シン「公用専用」の進入路で違法なUターンを行い、交通を妨害し、3人が死亡した。連邦自動車運送安全局は事故の詳細を調査している。

トランプ政権は、英語力不足の運転手が交通標識の理解や当局とのコミュニケーションに支障をきたすとして、厳格な基準の適用を進めている。今回のビザ発行停止も、米国の道路安全と国内労働者の保護を優先する姿勢の表れとされる。

日本は逆の対応

アメリカが「安全重視」で外国人労働者への制限を強める一方、日本は「人手不足対策」を優先し要件を緩和するという、対照的な政策を打ち出している。

バスやタクシー運転手の特定技能評価試験では、今年4月末時点で合格者がゼロだったことを受け、政府は日本語能力要件の緩和を決定した。現在、特定技能の在留資格では日本語能力試験(JLPT)のN3レベル(日常会話をある程度理解できる)を求めているが、これをN4レベル(ひらがなの読み書きや基礎的な会話が可能)に引き下げる方針である。

さらに、N4レベルで採用された運転手には「日本語サポーター」の同乗を義務付け、勤務しながら早期にN3を取得するよう促す。この措置は、運転手不足の深刻化に対応するためのものだが、十分なコミュニケーションが取れないことによる安全性への懸念も指摘され、賛否が分かれている。

エポックタイムズ記者。主に議会に関する報道を担当。
清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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