一定程度の土地取得 国籍の届け出を義務化

2025/10/02 更新: 2025/10/02

国土交通省は、一定規模の土地を取引した場合、取得者の国籍などを自治体に届け出るよう義務付けるよう国土利用計画法の施行規則を改正した。エポックタイムズが2日、国交省土地政策課に確認を行った。

日本人も含め取得者が契約締結後2週間以内に都道府県や政令指定都市に届け出るよう義務づけている。国籍はあくまで事後届出制度における土地利用目的の審査及び指導・助言等のために必要な範囲で参照するものとしている。

規則改正の目的は、投機的な土地取引や地価高騰の抑制、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るためとしている。規則は4月1日に公布され、7月1日から施行されている。

法人による取得の場合は設立の際に準拠した法令を制定した国の記載を求める。外国企業の日本法人が土地を購入した場合は「日本国籍」となる。

届け出の対象は、市街地として積極的に開発・整備する区域である「市街化区域」では2千平方メートル(1坪 = 3.30578 ㎡)以上、都市としての整備や開発が計画されていない「都市計画区域外」は1万平方メートル以上の土地を購入した場合となる。

外国人らによる農地取得 中国国籍が最多

農林水産省がまとめた調査によると、2024年に外国人や外国法人などが取得した農地は全国で175.3ヘクタールに上り、前年(90.6ヘクタール)のほぼ2倍に増加。これは全国の農地面積(約427万ヘクタール)の0.004%にあたり、東京ディズニーランド(約51ヘクタール)の3.4倍ほどに相当する。

取得者の内訳では、国内に居住する外国人が95ヘクタール(1ヘクタールは 1万平方メートル)、国内居住外国人が関与する法人が79ヘクタールを占めた。一方、海外居住外国人や外国法人が直接取得した事例はほとんどなかった。国籍別では中国が最も多く、韓国、ブラジル、アメリカ、ベトナムなどが続いた。

農地法では投資目的のみでの取得は認められず、農業利用が前提となる。農水省は「農地の適正利用を確保しつつ、重要土地等調査法など他の制度とも連携して監視を続ける」としている。

海外における外資の土地取得に対する規制の動き

アメリカでは近年、外国資本による土地や不動産の取得をめぐり、国家安全保障や食料安全保障の観点から規制を強化する動きが加速している。背景には、中国をはじめとする特定国の企業や個人による農地買収や軍事拠点周辺での土地取得が急増していることへの懸念がある。

米上院では6月、「基地保護法案」が提出された。これは、外国企業が米軍基地周辺の土地を取得する行為を制限するもので、重要軍事施設を国防総省が指定し、その周辺の不動産取引を議会に報告する仕組みを整える内容だ。中国企業がノースダコタ州の空軍基地近くで土地取得を試みた事例が問題視されたことが契機となった。

州レベルでも規制が広がっている。テキサス州議会は5月、中ロやイラン、北朝鮮の国民や企業による州内不動産の取得を禁じる法案を可決。州司法長官に調査権限を与え、必要に応じて民事訴訟を通じて没収できる規定も盛り込んだ。短期賃貸など一部の例外は認めるものの、厳格な規制が導入される見通しだ。

さらに7月には、連邦政府が中国資本による農地取得を全面禁止する「国家農業安全行動計画」を発表。過去10年間で急増した中国による農地買収を抑え、食料供給と農業基盤を守る狙いがある。農務省は農地を国家戦略資源と位置付け、外国資本の影響排除に踏み切った。

アメリカでは連邦と州の両レベルで外資規制の枠組みが並立する形となるが、いずれも「安全保障」を旗印に外国資本の参入を制限する方向性で一致している。

エポックタイムズ記者。日本の外交をはじめ、国内外の時事問題を中心に執筆しています。
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