米中貿易戦争が激化 安全保障専門家「米国には多くの切り札 」

2025/10/15 更新: 2025/10/15

米中貿易戦争が再び激しさを増している。中国共産党(中共)はこのほどレアアースの輸出規制を強化した。これに対抗し、アメリカは中国製品に対して100%の関税を課す措置を発表した。今後、米中の対立はどのように展開するのだろうか。新唐人テレビ記者・馬東氏が、米国安全保障研究センターの上級研究員で元海兵隊大佐のグラント・ニューサム氏にインタビューを行った。以下はニューサム氏の分析である。

新唐人テレビ記者 馬東氏
「本日は取材に応じていただきありがとうございます。このような事態の展開を予想されていたか? 中共は今回の措置をあらかじめ計画していたのだろうか? 驚きはあったか?」

米国安全保障研究センター上級研究員・元海兵隊大佐 グラント・ニューサム氏
「非常に驚いたというわけではないが、中共がこのタイミングで動いたことにはやや意外性を感じた。ただ、これは多くの人が予想していた展開でもある。控えめに言っても、アメリカは一部の分野で中共に過度に依存してきた。レアアースだけでなく、医薬品をはじめとする他の産業でも同様だ。中共が『切り札』を使うのは時間の問題であった。そして今、彼らは実際に行動を起こし、『アメリカが制裁を課すのなら、我々も報復する』という立場を明確にしたのだ。この数か月の間にも、米中の貿易摩擦の中でこうした対立の兆候はすでに見られていた」

「中共がいつ実際に行動を起こすかを予測するのは難しいのだが、今回は本当に動いた。こうした規模の対抗措置は、これまで私が見たことのないものだ。中共は結果を顧みず、強硬な姿勢で臨んでいるように見える。しかし一方で、今回も過去と同じように虚勢に終わる可能性も否定できない。とはいえ、今回はその規模が非常に大きいため、多くの関係者を驚かせ、深刻な混乱をもたらすだろう」

記者 馬東氏
「この貿易戦争はどこまでエスカレートするのだろうか? トランプ大統領は、アメリカが中共に対抗措置を取らざるを得ない場合、国内で一時的な痛みを伴う可能性があると述べている。今後の行方をどのように見ているか?」

グラント・ニューサム氏
「トランプ大統領が述べている通り、この衝突は確かに混乱をもたらす。アメリカやその同盟国を含む自由主義陣営は、中国市場への依存を完全に断ち切ることが難しく、現時点では代替手段が不足している」

「こうした摩擦は、連鎖的なエスカレーションを引き起こす傾向がある。一つの分野で対立が深まれば、他の分野にも波及する。我々が中共に制限を課せば、彼らも報復として制限を加えるだろう。また、心理的側面でも影響があり、互いを『競争相手』ではなく『敵』として見る意識が強まっていく。その結果、米中間でいわゆるデカップリング(経済的分断)が進む可能性がある。すなわち、アメリカが中国市場から撤退するか、中国がアメリカ市場から離れていくかのどちらかだ。これは実質的な決別を意味し、世界が自由陣営と非自由陣営の二つの経済ブロックに分かれることを意味する。こうした展開は十分に起こり得ることであり、今回の摩擦がその引き金となる可能性もあるだろう」

記者 馬東氏
「トランプ大統領は、アメリカが中共に対して圧倒的な優位性を持っていると述べた。それは具体的にどのような優位なのだろうか?」

グラント・ニューサム氏
「まず第一に挙げられるのは米ドルだ。これはアメリカが持つ最強の切り札と言える。中共の最大の弱点は、米ドルを確保しなければならないという点だ。国際取引において交換可能な通貨としてのドルがなければ、ほとんどの活動が成り立たない。たとえば、オーストラリアの鉄鉱石を購入し、製鉄し、海軍を建設し、在外大使館を運営するためにも、すべてドルが必要だ。これがアメリカの持つ絶大な独占的優位性だ。また、アメリカやその同盟国が保有する先端技術も、中共にとって不可欠なものとなっている」

「さらに、もう一つの重要な切り札は、習近平国家主席やその家族、そして他の中共高官たちが海外に隠し持つ巨額の資産を暴露できるという点だ。これは彼らにとって極めて大きな脅威だ。彼らは数十億ドル規模の資産を保有しており、その多くがアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアなどの国々に置かれている。こうした資産の存在が表面化するたびに、中共の駐米大使館はさまざまなルートを通じて『その資産に手を出さないでほしい』と訴えている。つまり、それほどまでに彼らは脆弱であり、アメリカには中共に深刻な心理的圧力を与える非対称的な手段があるということだ」

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