中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)が手がける電気自動車(EV)「SU7」が10月13日未明、四川省成都市で高速走行中に前方の車に衝突し、対向車線に転倒・炎上した。
現場では通行人が車窓を拳で叩き割り、消火器で消火を試みたが、ドアも窓もロックされたまま開かず、運転手は脱出できずに車内で焼死した。
事故直後、中国のSNS上に投稿された現場映像が相次いで削除され、言論統制が行われたとみられる。しかし、ニュースは海外メディアでも伝えられ、小米の株価は同日、急落した。
小米SU7の事故映像(2025年10月13日、四川省成都市。市民撮影)
また、メーカー側は事故発生から24時間を経ても声明を出しておらず、火災時にドアが開かない構造上の欠陥が指摘されるなか、国営メディアは「交通事故」とのみ伝え、製品の安全性には触れていない。
小米(シャオミ)の電気自動車では死亡事故が相次いでおり、安全性への疑問が絶えない。
3月には中国・安徽省の高速道路で、女子大学生3人が運転中に衝突事故を起こし、車両が炎上した。ドアが開かず、3人は車内で焼死した。こちらの事故も「ドアが開かない」「救助が間に合わない」点が、今回と共通している。事故後の対応について、遺族は小米からの積極的な連絡がなかったと訴えており、同社の対応をめぐっては「責任を回避している」との指摘も広がっている。

命よりも「国家イメージ」
中国共産党政府は近年、巨額の補助金を投じて国産電気自動車(EV)産業を「国家戦略」として推進し、市場は急速に拡大した。
しかしその陰では、爆発や火災、ドアのロック故障による焼死事故など、安全面の問題が相次いでいる。「自動運転」をうたう車両の暴走や制御不能の事故も増えている。
それでも当局とメーカーは批判の声を封じ、報道を統制し、場合によっては公安を動員して言論を抑え込んできた。
技術の裏付けが乏しいまま、コスト削減を優先した設計が横行しており、欠陥を報じれば「国家の威信を損なう」として削除の対象となる。投稿者が拘束される例もある。
命よりもイメージを優先する体質が続くかぎり、どれほど技術が進歩しても、犠牲は繰り返される。
今回の事故は、その現実を改めて突きつけている。


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