中国経済の低迷が、街のカフェ文化にも静かに影を落としている。
台湾発の人気カフェチェーン「85°C」が中国本土で相次ぎ閉店に追い込まれ、かつて若者たちでにぎわった街角からその姿が消えつつある。
「ネット映えするカフェ」として若者から絶大な人気を集めてきた「85°C」は、台湾では200店舗を超える国民的ブランドに成長。明るい照明と華やかなスイーツ、写真に収めたくなるラテアートなどが並び、パンを求めて行列ができることもあった。
しかし今、その勢いに陰りが見え始めている。運営会社である「開曼美食達人」は、「中国市場の構造を見直す」と発表し、採算の取れない地域から順次撤退を進める方針を打ち出した。今年上半期だけで約2億元(約45億円)の赤字を計上し、年内には40店舗以上が閉店する見通しだ。
中国最大の口コミサイト「大衆点評」によると、北京で営業を続ける店舗はわずか2店舗。上海や杭州、南京、天津などでも「閉店」や「休業」が相次ぐ。杭州では10月15日が最終営業日と告知され、すでに看板を外した店舗もある。
現在、85°Cの全世界店舗数は約659店。そのうち台湾が219店、中国本土は約440店とされてきたが、中国での閉店によって構成比に逆風が吹き始めている。
中国経済における景気の冷え込みが進むなか、温かいコーヒー一杯さえも、人々にとって小さなぜいたくになり始めている。
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