中国北京で開かれた上層部の重要会議・四中全会(すでに閉幕)の期間中に起きた事件である。
10月22日午後5時半ごろ、湖北省十堰(じゅうえん)市の小学校前の交差点で信号待ちをしていた放課後の小学生と保護者の列に逆走してきた白い乗用車が突っ込んだ。
現場は混乱に包まれ、多くの児童が倒れたまま動かず、周囲には泣き叫ぶ子供と保護者の声が響いていた。誰もが何が起きたのか理解できないまま立ち尽くした。
目撃者によると、運転手の男は逃げずに道路脇で煙草をふかし、無表情のまま立ち尽くしていたといい、その異様な落ち着きに現場は凍りついた。
SNS上では「20人が死傷し、その場で息絶えた児童も複数いる」との情報が広がり「生活に追い詰められた末の社会報復だ」とする声が相次いでいる。しかし当局は情報封鎖に走り、映像や書き込みを次々と削除した。

現地住民は本紙に対し、こう証言する。「間違いなく本当に起きた事件で、誰もが知っている。街中ではこの話題でもちきりだ。みんな『あれは社会報復だ』と言っているが、政府は『言うな』と口を封じている」
(現場の様子、2025年10月22日、湖北省十堰市)
同じ週、広西チワン族自治区の柳州(りゅうしゅう)市では、騒音トラブルをめぐって69歳の男が上階の家族を襲撃。幼児を含む一家四人を殺害した後、自ら飛び降り自殺した。日常の不満が一線を越え、狂気へと変わる。この事件もまた、中国社会に満ちている闇の一端である。

10月17日、広西チワン族自治区の百色(ひゃくせき)市でも暴走車が街を襲った。灰色の車が交差点に突っ込み、人と電動バイクを次々とはね飛ばす映像は衝撃的だった。それでも当局は「単独事故」と発表した。しかし現地では「男は借金と離婚で人生が崩れ、酒に溺れた末に車を走らせた」との噂が広がっている。何度も繰り返される惨劇に、誰も驚かなくなった。ただ、社会への怒りと絶望だけが静かに積もっていく。

経済の停滞と失業の拡大、そして制度への絶望。理不尽を訴える術もなく、声を上げれば封じられる。行き場を失った閉塞の空気が、社会の隅々にまで染み込んでいる。因果を信じず、神をも恐れぬ人は、受けた不幸や不公平を社会のせいにし、自らの不幸を誰かの幸福で償わせようとする。自分が救われないのなら、他人を巻き込んで道連れにする、そんな邪気が今の中国社会を覆い尽くしている。

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