米陸軍 無人機100万機の購入計画 将来の戦争に備え

2025/11/10 更新: 2025/11/10

ロイター通信によると、米陸軍は今後2〜3年の間に、少なくとも100万機の無人機を調達する計画を進めている。その後も数年間にわたり、年間50万機から最大数百万機を追加購入する見通しであり、これは現在の年間約5万機という調達の規模を大幅に上回るものとなる。

陸軍のダニエル・ドリスコル長官はロイターの単独インタビューで、この計画を「巨大だが実現可能なプロジェクトだ」と述べた。陸軍は無人機の攻撃・防御技術の開発を加速しており、敵の無人機を捕獲する「ネット弾」や、爆薬と電磁技術を組み合わせた迎撃システムなどの研究も進めている。

ドリスコル長官と、ニュージャージー州ピカティニー・アーセナルを率いるジョン・ライム少将は、ロシアとウクライナの戦争が各国に多くの教訓を与えたと指摘した。両氏によれば、無人機は現代の戦場において極めて重要な役割を果たしているという。

ドリスコル氏は、ウクライナとロシアがそれぞれ年間約400万機の無人機を生産していると推定し、中国共産党政権の製造能力はそのおよそ2倍に達する可能性があると述べた。

ドリスコル氏はまた、戦争勃発時に迅速に無人機を製造できる体制を整備する必要があると強調した。そのためには、ブラシレスモーターやセンサー、バッテリー、回路基板などの重要部品を国内で生産できる仕組みを確立することが不可欠だと述べた。現在、これらの部品の多くは中国で製造されている。

軍内では、無人機を「高価な装備」ではなく「使い捨て可能な弾薬」として位置づける発想への転換が進められている。ドリスコル氏は「無人機を消耗品として扱う文化に変えたい」と語っている。

米国防総省は2023年に「レプリケーター」計画を開始し、今年8月までに数千機の自律型無人機を配備することを目指していた。ピート・ヘグセス国防長官は7月、この計画を後押しするため、無人機の製造を制限していた政策を撤廃する覚書に署名した。

また米議会では、テキサス州に年間100万機の無人機を製造できる工場を新設する法案も検討されている。ただし、ドリスコル氏は特定の拠点に依存することを避ける考えを示し、製造ラインを複数地域に分散させるほか、民間の無人機メーカーとも連携していく方針を明らかにした。

現在、米国の市場に流通している商用無人機の半数以上は中国ドローン大手「大疆創新科技(DJI)」の製品である。ドリスコル氏は、陸軍として今後、無人機の計画を支援するための予算を段階的に振り向けていくと説明した。

ドリスコル氏は、「無人機が今後の戦争のあり方を決定づけている。我々は攻撃と防衛の双方で、その能力にしっかり投資していかなければならない」と強調した。

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