中国 海外送金の規制を強化 1回15万円超で詳細確認

2025/12/17 更新: 2025/12/17

中国本土から海外への送金をめぐり、来年1月から新たな規制が導入される。個人による越境送金が1回1千ドル(約15万円)を超える場合、銀行が確認を強化することを求めている。本人確認に加え、資金の使い道、送金先、口座の開設目的や利用状況などについて説明しなければならない。この規定が公表されると、すぐに多くの人から不安の声が上がった。

西安に住む汪さんは大紀元に対し、香港で生命保険に加入しており、毎年ドル建てで保険料を送金していると話した。新たな規制によって手続きが複雑になり、保険料が無事に香港へ送金できるのか、不安を感じているという。

李さんは、さらに強い不安を抱えている。海外での投資や生命保険の支払いを行っているほか、移住も計画しているため、資金の準備として成都の住宅を売却し、外貨に換えた。しかし、規制の施行まで残り2週間を切る中で、どうすればよいのか分からないと語り、少額ずつ分けて送金する方法しか思いつかないが、その場合は出入国時のリスクも高まると話した。

公式文書によると、この規定を2026年1月1日から正式に実施する。監督当局は、目的について「マネーロンダリング防止とリスク管理のため」だと説明している。

一方、現実には、運用の細かいルールがはっきりしないことへの懸念が強い。学費や保険料は「正当な用途」に含まれるのか、また、複数回に分けた少額送金の方が、かえって監視の対象になりやすいのではないか、と疑問の声も出ている。

銀行側も、具体的な指示を待っている状況だ。銀行口座を持つ俞さんは、先日、招商銀行を訪ねて相談したところ、方針自体は決まっているものの、どのように調査するのか、どこまで詳しく確認するのかについては、統一した通知を待つ必要があると説明されたという。

中国工商銀行の職員も、非公式ながら、今後は送金に関する要求が増えることはあっても、緩和されることはないだろうと認めている。

また、「マネーロンダリング対策」という公式説明について、業界関係者の中には全面的には納得していない人もいる。

天津の銀行職員である秦さんは、マネーロンダリング対策の制度は以前から存在しており、今回の措置はむしろ、越境資金の動きを継続的に追跡するためのものに近いとの見方を示した。

中国共産党の公式統計によると、2022年以降、中国では一部の四半期で資金流出が見られ、外国直接投資や証券投資の資金の動きが不安定になっている。一方で、国内の個人や企業の間では、依然として資金を海外に投じようとする動きが続いているという。

新唐人
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