中国共産党(中共)軍事委員会副主席の張昇民が新年前に北京衛戍区の「安定維持」に乗り出し、軍の「安全・安定」を強調した。張又俠の失脚後に政局が不安定化する中、張昇民が習近平への忠誠を示しても自身の安全は保証されないとの見方が出ている。
官製メディアの報道によると、張昇民は2月11日、北京駐屯部隊の将兵を慰問した。訪問先には軍事航天部隊傘下の工程技術大隊のほか、北京衛戍区の警衛団が含まれていた。
張昇民は演説で「習近平の強軍思想」「中央軍事委員会主席責任制の徹底」「党の言うことを聞き、党とともに歩む」などを強調した。また、「訓練と準備の強化」「各種突発事態への備え」「部隊の高度な統一と安全・安定」などを求めた。
北京衛戍区は中共陸軍の正軍級部隊で、中央軍事委員会の直接指揮下にある。平時には北京の警備を担い、戦時には中央機関の移転・退避の支援を担う。中南海の権力闘争で重要な役割を持つ部隊とみられている。
中央軍事委員会副委員長の張又俠と何衛東は昨年北京駐屯部隊を「慰問」していたが、様相は異なっていた。昨年の旧正月前、張又俠と何衛東はそれぞれ情報支援部隊や空軍レーダー部隊、輸送救助飛行部隊を訪れた。発言は習近平への忠誠を示す政治的な決まり文句を除けば、「強化準備」や「政治建設」に触れるにとどまった。
時事評論家の李林一氏によると、張又俠と劉振立という実戦派の将官が突然拘束されたことで、末端の軍人の間に不満が広がっている可能性がある。そのため張昇民が軍営で「安定維持」を強調した。これこそが彼の本業であり、今回の視察の狙いである。「安全・安定」を繰り返し強調したこと自体が、軍の動揺を示しているという。
李氏はさらに、張昇民が習近平への忠誠を示しても必ずしも安全とは言えないと指摘する。張又俠も昨年末、中共メディアの機関紙で忠誠心を表明していたが、その後突然失脚したと述べた。
中国政治に詳しい評論家の杜政氏は、以前「上報」への寄稿で、張又俠と何衛東、習近平の権力闘争の過程で張昇民は双方から引き込まれる立場にあったと指摘している。習近平と何衛東が張又侠を標的に据え、装備部門の汚職を遡及調査した際、その執行を担ったのは張昇民だった。一方、張又俠が何衛東を追い込もうとした際に、張昇民は苗華や何衛東の疑惑に関する証拠収集に少なからず関与した。その後、習近平が最終的に張又俠の排除を決断すると、張昇民は習近平側へと寝返ったという。
中共中央規律検査委員会の元官僚、王友群氏は2月9日に大紀元に寄稿した。張昇民は現在「軍のナンバー2」という高みに上り詰めたが、足元は薄氷を踏むが如き危うさであり、一歩間違えれば氷穴に転落しかねないとの見方を示した。
王友群氏は張昇民の立場が危うい理由として5点を挙げた。第一に、張昇民は、習近平を助けて張又侠側の関係者の調査に関わった一方で、張又侠を助けて習近平側の関係者の調査にも関与した点。第二に、張昇民はあまりに多くの人の恨みを買っていること。第三に、後ろ盾となる有力な政治基盤を欠くこと。第四に、習近平は張又俠すら排除した以上、張昇民も例外ではないとみられる。第五に、習近平が予言を深く信じていると言われている。唐の時代の予言書「推背図」にある「身に『弓』を帯る軍人がクーデターを起こす」という記述を気に病み、その実現を警戒しているという。
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