中国 党機関誌が「責任を恐れず動け」と異例の叱責

中国官僚が集団静止? 粛清恐れ「何もしない」という選択

2026/03/05 更新: 2026/03/05

中国の官僚社会で、いま静かに広がっているのが「何もしない」という選択だ。

共産党の理論誌『求是』は3月1日、事実上「責任を恐れず動け」と呼びかける論考を掲載した。記事は「権限だけ欲しがり、責任を負わない風潮がある」と官僚を批判し、「本当に責任を取れるかどうか」を昇進の基準にすべきだと強調している。

いわば、動かない官僚への公開の叱責である。しかし現実の空気は正反対だ。

先週、中国の国会にあたる全国人民代表大会で、19人の代表が一斉に解任された。そのうち9人は軍の将軍クラスで、5人は軍の最高位クラス。軍の中枢に近い人物が大量に姿を消した形だ。

さらに軍の幹部も相次いで失脚し、指導部の人数は大きく減少。軍の指揮体制そのものが揺らいでいるとの見方も出ている。

こうした粛清の連続が、官僚たちの心理を変えた。

元地方幹部は海外メディアに対し、「降格で済むならまだ軽い。立場を間違えれば、すべてを失う」と語った。評価を下げられることよりも、政治的に排除されることの方がはるかに怖いという。

そこに経済の失速も重なる。地方財政は厳しく、公務員の待遇も縮小傾向だ。かつての安定や高待遇という魅力は薄れ、積極的に動く動機も弱まっている。

トップは「責任を恐れず動け」と叫ぶ。
現場は「動けば危ない」と身を縮める。

このねじれが続く限り、中国官僚の「集団静止」は簡単には止まりそうにない。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
関連特集: 中国