ドイツの国際放送局ドイチェ・ヴェレは4月30日、学者の論評を引用し、中国共産党はマルクス主義を奉じると標榜しているにもかかわらず、現在の中国経済の実態はマルクスの本来の思想と根本的に相反しており、むしろ労働者を大規模に「搾取」していると報じた。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)のファン・ヤーシェン(黄亜生)教授がスイス紙「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング」に寄稿した論評によると、中国経済は発展を遂げたものの、労働者の賃金という点では一部の貧困国にすら大きく後れをとっているという。国連のデータによると、中国の産業労働者の賃金は、自らが生み出した付加価値のわずか4%にとどまり、87か国中、下から2番目に位置している。
在米独立評論家の蔡慎坤氏は次のように述べた。
「中共は権力を掌握して以来、労働者階級のために働いたことも、農民階級のために働いたこともなく、ひたすら自らの利益集団のために奉仕してきた。中国の国家体制には、深刻な分配の不公正が構造的に存在している。これほど巨大な労働者集団が、収入のわずか4%しか受け取れないというのは、世界でもまず例を見ない。中共は今やマルクス主義の旗を掲げながら、実態としてはいかなる西側資本主義国家よりも、労働者・勤労者階層に対する収奪と搾取がより苛烈で、より残酷な体制となっている」
記事はまた、マルクスの『資本論』の基準に照らせば、現在の中国はむしろ国家資本主義体制に近いと皮肉を込めて指摘している。第一に、労働者の主権を代表すべき労働組合が機能していない。
論評は、中共は「勤労人民が主人公」と唱えているが、実際には労働者が自発的に組織することこそが中共にとって最大の禁忌だと指摘している。
蔡慎坤氏はこう続けた。
「マルクスの理論では、労働者は自発的に労働組合を結成し、自らの権利を守ることができる。しかし中共が、労働者や農民に結党・結社の自由、言論の自由、あるいは労働組合による権利擁護の自由を認めたことがあっただろうか。まったくない。そうした動きが少しでも生まれれば、即座に弾圧し、踏み潰してきた」
さらに、賃金のGDP比が極端に低いため中国家庭の消費能力が不足し、企業は国内市場で激烈な価格競争を強いられている。この「内巻き(過当競争)」の構造が中国の労働者を苦しめているだけでなく、中国の過剰生産による安価な商品の世界的な輸出攻勢が他国の製造業の連鎖を揺るがし、諸外国の労働者をも傷つけている。
マルクスが掲げた「生産手段は社会全体のものであるべき」という理念は、中共の体制のもとで、いわゆる「全人民所有制」が実質的に「官僚私有制」すなわち「新階級」による支配へと変質している。
シドニー工科大学のフォン・チョンイー(馮崇義)副教授はこう語った。「ソ連、ユーゴスラビア、中国など、いわゆる社会主義国家が打ち立てた国家政権は、新たな階級の手中に収められている。その新階級とは官僚階級、すなわち共産党が権力を握る官僚階級であり、彼らこそが真の国家の所有者であり、利益を享受する集団だ。」
記事は、中国の製造業の強力な競争力は技術革新から生まれたものではなく、労働者への極度の搾取に由来すると論じている。低賃金によって生み出された巨大な剰余価値が国家と企業の資本蓄積に転化され、資本コストを押し下げている。習近平政権は「共同富裕」を強調し、馬雲(ジャック・マー)ら資本家に対する締め付けを強めているが、実質的には末端労働者への権限移譲は行われていないとしている。
蔡慎坤氏はさらにこう指摘した。
「官僚資本主義と権貴利益集団の結合によって、労働者の収益はほぼ完全に奪われている。彼らが手にした富は、社会福祉や多くの人々の老後の保障、医療問題の解決に充てられることなく、さまざまな手段で海外の資本主義国家に移し、その地で資本主義的な生活を謳歌している。そして国内には荒廃した残骸だけが残されている」
論評は結論として、中共はマルクスの旗を掲げながら、実態は官僚主義と極端な資本主義を実践しており、労働者の言論・結社の自由を抑圧するだけでなく、労働の対価を生存ギリギリの水準まで引き下げ、私腹を肥やす官僚階級がすべての成果を独占していると断じている。マルクス主義を自称する中共政権が、世界で最も不平等な分配構造を作り上げているというわけだ。
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