ノルウェー当局は9月2日、北極圏のスバールバル諸島でロシア船1隻を差し押さえた。この事はウクライナ国営エネルギー会社ナフトガス(Naftogaz)が、42億2千万ドルの支払いを命じた仲裁判断に基づき、賠償金の回収を進める措置の一環である。
スバールバル諸島総督府によると、ノルウェー当局は、北トロムス・センヤ地方裁判所の命令に基づき、バレンツブルクに停泊していたロシア船「プロフェッサー・モルチャノフ」を差し押さえた。裁判所は8月31日、ナフトガスによる同船の差し押さえ申請を認める判断を下した。
総督府は、総督が現地の執行機関であり、裁判所の命令に基づいて9月2日に差し押さえを執行したと説明した。裁判所は、総督が指定した場所に同船を停泊させるよう命じた。同船は、総督または裁判所が別の決定を下すまで、バレンツブルクに留め置かれる。
総督府は、バレンツブルクを管理するロシア国営企業トラスト・アルクチクゴル(Trust Arktikugol)と協力し、船内の乗組員と乗客に関する対応を行う。
「プロフェッサー・モルチャノフ」は、商業探検に使用されるロシア船で、航路にはスバールバル諸島も含まれている。
ナフトガスは、仲裁判断に基づいて賠償金の回収を進めている。この仲裁判断は、ロシアがクリミアでナフトガスのエネルギー資産を収用したことに関するものである。
2023年4月、ハーグの仲裁廷は、ロシアに対し、ナフトガスと関連会社へ約42億2千万ドルを支払うよう命じた。これに利息と訴訟費用が加算される。
ナフトガスによると、ロシアは現在も仲裁判断を履行していない。このため同社は、ロシアの商業資産を差し押さえるため、複数の国の裁判所に申請してきた。
今回の船舶差し押さえは、ナフトガスが各国で進める賠償金回収手続きが、実際のロシア資産に及んだ事例の一つである。
ナフトガス社のセルギー・フェドレンコ(Sergii Fedorenko)最高経営責任者(CEO)は、今回の措置について、ロシアがクリミアで違法に差し押さえたナフトガスの資産を巡り、「正義を回復する」ための重要な一歩だと述べた。
フェドレンコ氏は、ロシアが国際仲裁判断の履行を拒否することで責任を免れることはできないと指摘し、ナフトガスは今後も世界各地でロシアの資産を追跡するとした。
AP通信によると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は9月3日、ウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムで演説し、民間船舶の差し押さえや商船への攻撃は「国家テロ行為」であると述べた。
プーチン氏はまた、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が外国の航空会社に対して行った最近の警告も批判した。ゼレンスキー氏は声明で、ウクライナによる長距離無人機攻撃のため、ロシア領内の飛行は今後、安全ではなくなる可能性があると述べていた。
一方、ノルウェー法務省は、今回の差し押さえはナフトガスとロシアの間の法的事件であり、ノルウェー政府が関与する政治的な行動ではないと説明した。ロシアは事件の当事者として、地方裁判所に再審査を求めることができるとしている。
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