チベット土石流から11日 外国メディアが初めて現地入り 国境検問所は跡形なく

2026/09/07 更新: 2026/09/07

中国とネパールの国境地帯で8月26日、洪水と土石流が突然発生し、チベットの吉隆国境検問所が甚大な被害を受けた。9月6日に現地を訪れた外国メディアは、国境検問所はほぼ跡形もなくなり、5階建ての税関庁舎も完全に流されているのを確認した。

洪水発生後、中国のSNSでは、吉隆国境検問所が濁流にのみ込まれる映像が一時拡散した。建物や人が激しい濁流にのみ込まれる壊滅的な光景が映っていた。こうした映像はその後、中国共産党(中共)当局が相次いで削除した。

中共当局は災害に関する報道を厳しく統制している。中国外国人記者クラブは9月4日、中共当局が外国メディアによるチベット自治区での取材を認めていないとして声明を発表し、批判した。

こうした批判が出るなか、中共外務省は洪水発生から11日後の9月6日、海外メディア向けの現地視察を実施した。

米CNNは、当局が「周到に準備した」視察だったとし、外国メディアを通じて吉隆国境検問所で救援活動が進んでいることを示す狙いがあると報じた。

吉隆国境検問所はこれまで、中国とネパールを結ぶ主要な国境通過拠点として、多くの商人や旅行者が毎日行き交っていた。監視カメラの映像には、濁流が押し寄せ、建物やその場にいた人々が瞬く間にのみ込まれていく様子が映っていた。

吉隆国境検問所が壊滅 5階建て税関庁舎も消失

CNNとロイターの記者が9月6日に現地で確認したところによると、高地にある拠点はほぼ完全に押し流され、一帯は岩やがれき、泥に覆われていた。かつての面影はなく、月面を思わせるほど荒涼とした光景が広がっている。

災害前、国境には5階建ての中国税関庁舎が建っていたが、現在は跡形もなく、基礎部分がわずかに残るだけだ。

周辺で建物として残っているのを確認できるのは、近くにあった給水塔施設の一部だけで、辺りには黒ずんだ泥に覆われた荒れ地が広がっている。

救助隊員のシャオジュン・ジャンさんはCNNの取材に対し、次のように語った。

「災害後に土砂を掘り起こし始めた時、見えたのは残った基礎だけだった。上にあった建物はすべて土石流に流されていた。その光景を見た時は本当に胸が痛んだ。多くの同胞がこの災害で尊い命を失った」

被災地は土ぼこりと霧に包まれ、視界も悪かった。道路は完全に破壊し、現在は一面ががれきに覆われている。

吉隆国境検問所の周辺も深刻な被害を受けた。かつては旅行会社やスーパーが並び、中国とネパールを結ぶ橋もあったが、いずれも押し流され、土砂の下に埋まった。

災害情報の統制に不満高まる

これまでのところ、吉隆国境検問所で生存者は確認していない。

現在、中国国内外で、行方不明者の家族が親族の消息を待ち続けている。家族らは、災害発生時に親族が国境検問所にいたとみている。

しかし中共当局はこれまで、災害発生時に国境検問所にいた人の名簿や、中国側で行方不明になったとする人の名簿を公表していない。

こうした対応をめぐり、情報公開の遅れや不透明さに対する不満が強まっている。特に、行方不明となった家族の消息を待つ人々からは、情報の少なさを批判する声が上がっている。

中国側の厳しい情報統制は、同じ洪水被害を受けたネパール側の対応とは対照的だ。

中国側では災害情報の公表が遅く、発表も中共の厳しい管理下にある官製メディアを通じたものが中心となっている。一方、ネパールでは政府を含む複数のルートで、被害状況に関する最新情報をより頻繁に発表している。

中共当局は9月6日夜、約2日ぶりに被害状況を更新し、中国側の国境地域で43人が死亡し、519人が行方不明になっていると発表した。

行方不明者の家族や、自国民が行方不明になっている国の外交官らは、中共側が提供する情報が限られていることに不満を募らせているという。

4か国の政府関係者はロイターに対し、遺体の発見が続くなか、中共側はDNA鑑定による犠牲者の身元確認をどのように進めるのか、具体的な説明をしていないと明らかにした。

中共当局は、吉隆国境検問所の監視カメラ映像や顔認識用の映像などを行方不明者の家族に提供できるのか、また、犠牲者の身元確認に活用するのかといった外交官らによる質問にも回答していない。

これに対し中共外務省は、洪水に関する中国側の情報発信について、公開性と透明性を確保し、迅速に行っていると主張している。

張婷
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