中国各省政府がこのほど公表した2017年固定資産投資目標によると、総規模は45兆元(約765兆円)以上の見込みになると推計される。専門家は、中国当局が、不動産バブルや企業負債急増などを招いた経済刺激策を、再び講じるようとしていることに、強い懸念を示した。
中国の23の省政府は、17年固定資産投資目標を発表した。まだ発表していない他の省の投資目標を加えば、中国全国の累計投資規模が45兆元以上になる見込みだ。中国の固定資産投資額は、一般的に農村部を除いた都市部の建築工事や設備工事費を集計したもの。
「薬物中毒」のような中国の投資依存
中国国内の著名エコノミスト・馬光遠氏が21日、ソーシャルサイト(SNS)の微信(WeChat)で、経済成長が刺激政策に依存し過ぎることは、今年、中国経済が迎えるリスクの一つになるとの分析を示した。また、16年の経済成長は「投資と不動産は大きく貢献したが、逆に企業負債の増加はバブルを招いた」と指摘した。
馬氏は、中国の投資依存は「薬物中毒」のようで、当局が経済の自然な流れを受け入れないため、中国経済は少し下向きの状況が現れると、すぐさま投資を拡大して景気を刺激しようとするとするため、悪循環に陥っていると示した。
中国当局が公表した統計をみると、過去30年間において、中国経済の投資依存度が上昇し続けてきた。1986年の固定資産投資総額が2970億元(約5兆490億円)で、同年国内総生産(GDP)が1兆8770億元(約31兆9090億円)であったため、投資依存度は15.8%だった。
10年後の1996年には依存度が31.3%で、2006年に50.2%となった。昨年は、固定資産投資総額が59兆7000億元(約1015兆円)、GDPが74兆4000億元(約1265兆円)で、投資依存度が80.2%に急上昇した。
GDP変化なくとも、高まる投資依存 低い経済効果
毎年のGDP増長率があまり変わらなく、一定の水準で維持している場合、投資依存率が高ければ高いほど、投資の経済効果が低いことを反映する。この結果、経済が上向きにならないと同時に、逆に改革のタイミングを逃した。
生産能力過剰になっている業界、例えば、不動産や住宅の建設に欠かせない鋼鉄、セメントなどの企業は、債務不履行(デフォルト)リスクが一層高まる。これまでのケースを見ると、大部分の投資資金が実体経済ではなく、不動産市場に投じられたため、不動産価格が調整局面に入り、大幅に下落する場合、不動産関連企業に融資する銀行や金融機関が回収できない不良債権が急増した。
専門家は、当局が今回こそ、45兆元以上の莫大な投資を実体経済に投じるか、それともまた不動産市場に投じるかに注目している。
ただ、中国経済は自由市場経済ではないため、当局が資金・資源の分配と配置を決定する。朝令暮改の中国当局は、今は「実体経済に」とのスローガンを揚げるが、その後、また不動産市場に資金を投じて、新たなバブルで景気を刺激していく可能性が高いとみられる。
(翻訳編集・張哲)
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