中国国家統計局が16日発表した7月の経済指標は予想以上に減速した。中国メディアにマクロ経済の分析記事を掲載する経済学者は、中国経済は「今、スタグフレーションから景気後退に入ろうとする段階にいる可能性」を示唆した。
中国証券会社、東呉証券のチーフエコノミストを務める任澤平氏は17日、SNSの微博(ウェイボー)に長文を投稿した。同氏は、中国経済を支える3つの柱である消費、投資、輸出は全面的に鈍化したと指摘した。
7月の中国経済活動に関して、製造業購買担当者景気指数(PMI)、PMI新規輸出受注指数、住宅販売、投資、社会融資を含む景気先行指数が下落しただけではなく、工業生産、固定資産投資などの景気一致指数も低下した。
任氏は、「景気の下振れ圧力が高まって広がり始めていることと、景気後退への市場予測も強まっていることを示した。今、景気遅行指数である物価指数はまだ高い水準(インフレ)にある。主因は需給ギャップと二酸化炭素(CO2)排出量削減運動にある」とした。
同氏は、景気停滞の主因は、不動産や地方債への信用収縮効果が現れ始めたこと、5月に始まった不動産販売の低迷が投資分野に影響を及ぼしたこと、米国や欧州、アジアなどの生産再開に伴う輸出受注が減少したこと、中国経済のK字型成長、中小企業の(原油や鉄鉱石など)コモディティ・コストの負担増大、雇用低迷による個人消費の縮小などを挙げた。「特に、原油や鉄鉱石、石炭、農産品などのコモディティの価格急騰で実体経済の許容範囲を超え、経済活動を抑制した」という。また、7月に発生した洪水、豪雨なども経済活動に影響を与えたとした。
任氏は、「コモディティのインフレのピークが現れているため、景気は四半期ごとに減速するだろう。現在は、経済サイクルのスタグフレーションの後期とリセッションの初期段階にある」と分析。今年下半期と来年上半期は、この二つの期間の転換点で、「金融緩和政策が始まる時期でもある」という。
また、任氏は記事の中で、7月経済指標が全面的に低下したことに「目覚めてほしい」と警告した。同氏は中国当局に対して、金融緩和の実施と同時に、財政政策による新たなインフラ整備計画を呼びかけた。
ブルームバーグによると、中国の7月の小売売上高は前年同期比8.5%増となったが、市場事前予想の10.9%増を下回り、6月の12.1%増から大幅に低下した。工業生産も同6.4%増だが、予想の7.9%増に届かなかった。6月は8.3%増だった。1~7月までの固定資産投資は、市場事前予想の11.3%増を下回り、10.3%増となった。
(翻訳編集・張哲)
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