[ブリュッセル 8日 ロイター] – 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は8日、ロシア産天然ガスの依存度を年内に約6割低下させ、「2030年よりかなり前に」 依存をゼロにする計画を発表した。
欧州委は代替の供給源への切り替えと、クリーンエネルギーの利用拡大を急ぐことで、ロシアへの依存低下を目指すと表明。具体的な実施は加盟各国政府の責任になるとみられる。
EUは現在、ロシアから年間1550億立方メートルの天然ガス・液化天然ガス(LNG)を輸入。欧州委は、米国やカタールなどの国からの輸入で、今年はこの3分の1以上に当たる600億立方メートルが代替できると試算。30年までにはバイオメタンと水素の利用拡大で、一段の代替の進展が可能とした。
また、風力発電と太陽光発電の拡充で今年は200億立方メートルの天然ガス需要が代替できると試算。30年までに発電能力を3倍に高めれば、毎年1700億立方メートルの天然ガス需要が削減できるとした。
EUは現在、天然ガス需要の約40%をロシアに依存。ロシアがウクライナ侵攻を開始した後も、今のところはロシアからの欧州向けエネルギー供給は安定的に続いている。
ただ一部アナリストは、ロシアからの供給が長期にわたり途絶えた場合、工場が操業停止に追い込まれるなどの事態になり、欧州経済が打撃を受けるとの見方を示している。
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