中国共産党の「プロパガンダ機関」とされる孔子学院は、欧米を中心に相次いで閉鎖が進む。対照的に、台湾政府が出資する「台湾華語学習センター」が中国語学習教室として受け入れられている。
台湾は2021年6月から向こう5年間で100校を設置する計画を進めている。台湾僑務委員会の童振源委員長によると、すでに米国や欧州など45カ所に設けらた。同氏は2日、立法院外交と国防委員会の協議で「来年、再来年は各20校、その次の年は15校を設置する計画だ」と意欲を見せた。
童氏は中国共産党が出資する孔子学院と台湾華語学習センターの違いにも言及した。台湾華語学習センターは、米国の普遍的価値を共有し「共産主義を推進することはない」と強調。自由で民主的な開かれた教育環境のもと正当な文化遺産を維持していることから、同センターを設置した国々から好評を得ていると述べた。
台湾は2020年12月、教育分野での提携を強化する「米台教育イニシアティブ」協定を米国と締結しており、学習センターの開設はこの取り組みの一環といえる。
中国共産党のスパイ機関
中国の言語や文化の普及を目的に世界各地に設置された孔子学院だが、近年では中国共産党のプロパガンダ機関であると厳しい目が向けられている。2020年、ポンペオ米国務長官(当時)は「中国共産党による世界規模のプロパガンダ工作に使われている」とし、孔子学院を中国大使館などと同じ外国公館に指定した。
孔子学院の実態を暴露したドキュメンタリー映画『In the Name of Confucius (仮邦題:偽りの儒教)』のドリス・リウ監督も同学院と中国共産党とのつながりに言及。孔子学院は中国共産党統一戦線部の出先機関で、同党から多額の資金提供を受けていると指摘した。
ブリティッシュ・コロンビア大学は、4回にわたって中国共産党からの孔子学院設置の申し出を拒否し、台湾華語学習センターと提携することを選択した。孔子学院の設置にあたり「契約内容を開示しないこと」「法輪功や天安門事件、台湾などの『敏感な』話題には触れないように」と中国共産党から圧力をかけられたことに不信感を抱いたという。
相次ぐ閉鎖
ポンペオ氏の「外国公館」指定を皮切りに、世界各地の孔子学院が閉鎖された。
「情報漏洩」のリスクがあるとして2020年8月、ドイツのハンブルク大学は孔子学院との提携を終了した。昨年には米オハイオ州のアクロン大学やインディアナ州で唯一孔子学院を構えるバルパライゾ大学が閉鎖を発表した。かつては100校以上あった米国の孔子学院は、現在では50校以下となった。
スウェーデンは2020年4月に唯一残っていた孔子学院の閉鎖を発表。ヨーロッパで初めて孔子学院と完全に縁を切った国となった。
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