台湾訪問中の古屋圭司日華議員懇談会会長と木原稔同事務局長は22日、台北市で蘇貞昌行政院長(首相)と会談した。親密さを増す日台関係を確認するとともに、中国共産党の軍事的挑発を厳しく非難し、安倍晋三元首相が提唱してきたインド太平洋戦略を実践していく考えを示した。
古屋会長によると、会談は予定を超過して1時間以上行われ、多岐にわたる意見交換を行うことができたという。
蘇貞昌氏は冒頭、日華懇の顧問を務め、「台湾有事は日本有事」を掲げた安倍晋三元首相の逝去に弔問の意を示した。また、日本からの医療物資の援助や、中国の輸入禁止措置によって苦境に陥った台湾産パイナップルの輸入など、日本の支援に感謝の言葉を述べた。
国交がない日本と台湾にとって、日華懇は大きな外交的役割を担ってきた。今年3月の総会では安倍晋三元首相と蔡英文総統がリモートで対談し、国際情勢について意見交換を行った。また、「2022年度基本方針」には台湾海峡の安定や、台湾による世界保健機関(WHO)などの国際機関への参加が盛り込まれた。古屋氏は、WHO憲章の規定の通り、健康は基本的人権であり、いかなる政治的影響をも受けるべきではないと指摘。台湾の国際進出を後押しする考えを示した。
中国共産党が軍用機や軍艦を用いて台湾周辺地域の平和と安定脅かしていることについて、蘇氏は、日本のエネルギー輸入や製品の輸出入にも影響を及ぼしかねないと警鐘を鳴らした。日台間の関係をさらに緊密に保つことによって、中国の脅威に対処していく考えを示した。
古屋氏は、国際情勢が刻一刻と変化するなか、普遍的価値観を共有する日本と台湾は外交戦略上の協力をしなければならないと指摘。安倍元首相の遺志を継ぐためにも、インド太平洋戦略を実践していくべきだと述べた。
中国の軍事的挑発は地域の平和と安定に対する極めて重大な脅威であり、日本は中国のこのような行為に強く反対すべきだと語った。そして、自由や民主、法の支配といった普遍的価値観を共有する国々は、台湾が侵略されることを決して許さないと強調した。
古屋氏はまた、日台間に正式な外交関係はないものの、約260名の議員が加入する超党派議連「日華議員懇談会」は架け橋としての役割を果たしていると述べ、双方の関係の一層の増進に強い意欲を示した。
古屋氏一行は22〜24日にかけて台湾を訪問。滞在期間中には蔡英文総統や頼清徳副総統ら要人と会談する。また、李登輝元総統の墓参りも行う予定。
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