日華議員懇談会の古屋圭司会長は23日、台湾の蔡英文総統との会談で、台湾海峡の平和と安定は日本の安全保障にとって極めて重要だと指摘した。蔡英文氏は「台湾がいったん侵略されれば、民主主義の価値観とインド太平洋地域全体に大きな衝撃を与える」と述べ、地域の平和を維持するために日本との連携を強化していく考えを示した。
古屋会長は冒頭、安倍晋三元首相の逝去に際し台北のランドマーク「101」に灯された追悼の言葉に、多くの日本人が日台間の信頼と絆を強く感じたと述べた。台湾は、安倍氏が2016年のアジア・アフリカ会議で提唱した「自由で開かれたインド太平洋」の地理的重心に位置していると述べ、「台湾海峡の平和と安定は我が国の安全保障はもとより、国際社会にとっても極めて重要」だと強調した。
米ペロシ下院議長の訪台に対し弾道ミサイルをEEZ(排他的経済水域)に着弾させる中国の「軍事的威嚇」については、「自由、民主、法の支配、人権を共通の価値観とする日本と台湾にとって絶対に受け入れることはできない」と糾弾。日米をはじめとする国際社会と連携して中国による現状変更の試みを「徹底的に抑止していくことが何よりも大切」だと述べた。
古屋氏は「世界における戦略的地殻変動はすでに始まっている」とし、「日米豪印4か国によるクアッドには、英国やフランスは強い関心を示している。自由で開かれたインド太平洋をさらに強化していくことになるだろう」と展望した。
蔡英文総統は安倍氏が「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と強調したことに感謝の意を表し、自由や民主といった普遍的価値観を共有する日台は「安全保障においても緊密なパートナー」であると述べた。コロナ禍における医療物資の相互支援を例に挙げ、日台間の絆を強調した。
「ロシアによるウクライナ侵攻と、中国による台湾周辺での頻繁な軍事演習は、インド太平洋地域の安定に大きな脅威を与えている」とし、権威主義体制の拡張と挑発に対しては国際社会が手を取り合って立ち向かう必要があると述べた。そして「台湾がいったん侵略されれば、民主主義の価値観、そしてインド太平洋地域全体に巨大な衝撃を与えるだろう」と訴えた。
会談では、台湾の高速鉄道も話題に上がった。古屋氏は、安全性と運用実績に優れた日本の新幹線の「世界一の技術を信頼してほしい」と述べ、「台湾との硬い絆の象徴」にもなりうると意欲を示した。
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