[上海/北京 30日 ロイター] – 中国南部の主要都市、広州と重慶は30日、新型コロナウイルス感染抑制のための規制を緩和した。前週末に国内各都市で感染を封じ込める「ゼロコロナ」政策に反対する抗議活動が繰り広げられたのに続き、広州では29日にデモ参加者が警察と衝突する事態になっていた。
重慶の当局者は、コロナ感染者の濃厚接触者で一定の条件を満たせば、自宅での隔離を許可すると発表した。香港に近い広州での規制が緩和されたが、全国の感染者数が記録的水準となる中、習近平国家主席が自身の功績と位置付けるゼロコロナ政策が大きく転換する可能性は低いとみられる。
一部の抗議参加者や海外の専門家は、1989年の天安門事件後、急速に成長する中国を率いた江沢民・元国家主席死去のニュースを受けて市民が集会を開く可能性を指摘している。
多数の感染者が出ている広州の当局は、複数の地区の封鎖を解除すると発表したが、抗議活動には触れず、29日に警察との衝突が起きた地区は厳重に警備されている。
ツイッターに投稿された動画の1つでは、白い防護服を着た数十人の武装警察が頭上に盾を持ち、物が投げつけられる中で倒壊した封鎖用バリケードのようなものの上を隊列を組んで前進している様子が映っている。その後、手錠をかけられた人々が連行された。
ロイターは、動画が広州市海珠区で撮影されたことを確認できた。交流サイト(SNS)の投稿によると、デモ隊と警察の衝突は29日夜に起こり、封鎖措置を巡る対立が原因だったという。
米人権団体フリーダムハウスが運営する監視サイトは、26日から28日にかけて中国全土で少なくとも27件のデモが行われたと推定。豪シンクタンクASPIは、22都市で43件の抗議があったと推定した。
<当局は抗議参加者を調査>
台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業のiPhone受託生産工場がある河南省鄭州市の当局も、スーパーマーケットやジム、レストランの「秩序ある」営業再開を発表した。
中央政府の衛生当局は先に、市民が提起する「差し迫った懸念」に対応する考えを示し、感染抑制ルールは各地域の状況に応じてより柔軟に運用すべきだと述べた。
ただ、規制の一部緩和が国民の怒りを和らげる狙いがある一方、当局は抗議デモに参加した人たちの調査に着手している。
ある北京市民は「警察が玄関先までやってきて、詳細に質問し、記録書に記入させられた」とロイターに語った。
別の住民は、SNSに抗議活動の動画を投稿した友人数人が警察署に連れて行かれ、二度としないという誓約書に署名させられたと述べた。
北京の公安局はコメントしなかった。
法執行機関を統括する共産党中央政法委員会は、29日に声明を出し「社会秩序を乱す違法・犯罪行為」は容認されないと述べた。抗議活動には言及しなかった。
*動画を付けて再送します。
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