火葬間に合わず…集合住宅の敷地内で遺体焼却との情報も

2023/01/08 更新: 2023/01/10

3年間続いた厳しい感染対策ゼロコロナの解除によって、中国の医療・火葬システムが崩壊している。火葬は混雑を極め価格は高騰しているため、市民は集合住宅の敷地内で遺体を燃やさざるを得ないといった情報もある。

旧正月前、火葬場では変わらず混雑が続いている。江蘇省南京市では火葬場まで渋滞が起き、そばにいる女性がむせび泣き、「なんて悲しいこと!貨物トラックでさえ死体を輸送するために使用されている。車両は1日か2日間並ばなければならない…」と語る様子が動画に納められている。

在米時事評論家の秦鵬氏は自身の評論番組で、「遺体が多すぎて置き場がない」状況に対応するため、多くの病院では敷地内に遺体を収容するためのコンテナを大量に設置しているという。北京では遺体収容のために冷凍肉用の冷凍倉庫まで収用した。その数は1万5000体以上が収容されているといわれている。

SNS上には、居住する集合住宅の敷地内で感染により死亡した家族の遺体と思われるものを燃やしているといった話まで出ている。独立系ジャーナリストで作家の高瑜氏は昨年12月29日、団地で亡き家族の遺体を燃やさざるを得ない遺族の悲痛な投稿のスクリーンショットと現場写真をツイートした。

スクリーンショットは、遺族が昨年12月28日に居住する集合住宅のグループチャットに投稿したもの。「父は12月26日夜に亡くなった。コロナ陽性だった。亡き父を火葬しようと人脈を使いあちこちにかけあったが、火葬場はパンク状態で受け付けられなかった。葬儀ホットラインに電話しても、『遺体の引き取り予定は来年の旧正月まで埋まっている』と言われた。もうどうすることも出来ない。団地敷地内の空き地で遺体を燃やす予定だ。問題があるなら警察に通報すればよい」と書かれていた。

この投稿ののち地元当局はこの問題について介入したという。この情報は英スカイニュースやブルームバーグ通信も引用しているが真偽は確認できていない。

衛星会社「プラネット・ラボ」の衛星写真によれば、中国では昨年12月末、一部の都市の葬儀場は長蛇の列ができている。グーグル・アース・プロが公開した写真データベースでも、広州市番禹区や瀋陽市の葬儀場の交通量は、過去5~10年間でみられない混雑が確認できる。

深刻な感染状況にも関わらず、中国政府は「コロナ感染死」の定義を変更し、死者数を過小評価している。世界保健機関(WHO)や米国は透明性がないと批判し、感染に関する情報をリアルタイムで共有するよう求めている。「コロナとの戦い」で勝利宣言した共産党体制は、ドイツからのワクチン援助の申し出やインドからの解熱剤の受け取りを断っている。

英ロンドン拠点のデータ分析会社エアフィニティは、中国では毎日200万件以上の新型コロナ感染が発生し、1日あたり約1万4700人が死亡していると推定した。数億人が移動する旧正月時期にはさらなる感染のリバウンドが発生する可能性があると指摘している。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!