台湾の対艦ミサイル部品、中国で修理…技術漏えいの懸念

2023/01/08 更新: 2023/01/08

台湾の国家中山科学研究院(NCSIST)が開発した対艦ミサイル「雄風3」に使用されている角度測定器「セオドライト」が修理のため中国に送られていたことが明らかになった。NCSISTはセキュリティ調査の結果情報漏洩はなかったとしたが、軍事的威圧を強める中国への移送は安全保障上の懸念が指摘される。

NCSISTによれば、セオドライトは元々台湾軍に部品を供給していたスイスのライカ社に送られたが、その後同社が中国のメンテナンスセンターに移送したという。

台湾の「鏡週報」は4日、セオドライトが中国山東省で修理に出された際、データが流出し台湾軍のミサイル位置情報が漏えいした可能性があると報じた。さらに国防部がNCSISTに委託した100億台湾元規模の陣地情報監視システムにも中国製のICチップやパーツが使用されていると指摘した。

これを受けてNCSISTは、スイスに送る前にメモリーカードを取り外していたほか、返却後にセキュリティ調査を行なったが、悪意のあるプログラムが埋め込まれていなかったと述べた。いっぽうで今後、機密性の高い機器を中国本土に送ることがないよう、対策を講じると表明している。

情報セキュリティ企業のコンサルタントとして働く張氏(仮名)はラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に答え、過去30年欧米諸国の多くの企業が中国に支店やアジアにメンテナンスセンターを設置しているため、こうした問題が発生するのは台湾だけではないと指摘。政府が機密情報を厳格に管理するには生産や製造、サプライチェーンから中国関連の企業を徹底的に排除する必要があると述べた。

張氏は例として、台湾の政府機関は米企業のデルのパソコンを使用しているが、デルのアジア最大の倉庫は厦門(アモイ)にある。脱中国に向けてデルのマレーシア・ペナン支社に修理や出荷を依頼するよう提案した。

国際的な生産ラインの脱中国は静かに進んでいる。デルは2024年までに中国製半導体の使用を取りやめることを目指す。米HPも中国での生産見直しを検討しているという。日経新聞が複数の関係者の話として5日伝えた。

米国をはじめ国際関係担当。
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