国際情勢のリスク分析を行う米調査会社ユーラシア・グループは3日、2023年の世界の「10大リスク」をまとめた報告書を発表した。1位に「ならず者国家ロシア」、2位に「権力が最大化された習近平国家主席」を挙げた。
ゼロコロナ政策やテクノロジー新興企業の取り締まり強化など、昨年に続き習近平氏は重大な政策的失敗を犯す可能性があり、日本にも重大な影響を及ぼすと指摘している。
報告書は中国が今年、公衆衛生、経済、外交の3つの分野で、世界に大きな脅威をもたらすと分析した。
1番目のリスクとして習近平氏の中央集権的な意思決定が公衆衛生を及ぼすと予測した。新型コロナウイルス対策をめぐる混乱を挙げつつ、深刻な変異株が出現したとしても医療制度が圧倒されているため特定に時間がかかり、各国へ蔓延する可能性があると指摘。また、変異株を特定できたとしても透明性に欠ける中国政府は事実を隠蔽すると分析した。
2番目の経済分野では中国共産党の統制強化が「恣意的な決定と政策の不安定さ」を生むと論じた。3年にわたる厳しいゼロコロナ政策以来、中国経済は脆弱な状態にあり、主要な不動産セクターの成長は停滞し、債務不履行はより広い範囲の金融部門に波及する恐れがあると予測した。
3番目の外交政策については、習近平氏の国家主義的見解と独裁的なスタイルが中国と世界の間の緊張をより高めるほか、戦狼外交を強化すると警鐘を鳴らした。いっぽうで、「国内経済の課題の規模と緊急性を考慮すると、差し迫った危機を求めてはいない」と指摘した。
また、ユーラシア・グループは「10大リスク」が日本に与える影響に関する分析でも、「『絶対的権力者』習近平」は巨大なリスクをもたらすとしている。習氏の下での恣意的な決定や政策的な不確実性が、中国との「建設的かつ安定的」な関係構築を進めよとする岸田文雄首相の志向とは、逆のことが起きると予見した。
さらに、半導体サプライチェーンを国内中心に転換し、対内投資の審査を厳しくするなど日本は中国との戦略的デカップリングを強化すると予測した。
強まる中国共産党への反感
中国民主化運動海外合同会議の魏京生会長は、エポックタイムズの取材に対し中国共産党は中国人の海外渡航を自由化し、ウイルスを世界に拡散させることを目的としていると危機感を強めた。いっぽうで国際的なパニックを引き起こし、党への反感も強まると指摘する。
昨年11月末、新疆ウイグル自治区ウルムチ市で少なくとも10人が死亡する火災を契機に、中国では厳格なゼロコロナ政策に反発する抗議活動が勃発した。魏氏は、「今流行は制御不能になっているが、重要なのは人々の怒りが制御不能になっていることだ」と述べた。 「北京だけでなく、国全体が怒っている。北京の役人も感情的になって反対している人が多い。 昔は声を出す勇気すらなかった人たちが、今はあえて声を出している」
また白紙革命後、180度の政策転換を行い「ゼロコロナ」政策を撤廃したことについて、「習近平氏が率いる指導部で混乱が生じていることを示している」とも付け加えた。
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