半導体最大手TSMC、日本に工場2棟目の建設を検討 政府は歓迎

2023/01/14 更新: 2023/01/14

半導体受託生産の世界最大手TSMC(台湾積体電路製造)の魏哲家・最高経営責任者(CEO)は13日、日本で2棟目となる半導体工場の建設を検討していることを明らかにした。

魏哲家氏はオンラインで開いた第4四半期決算説明会で「顧客からの需要と政府のサポートレベルが理にかなっている」限り、日本でもう一つの事業を行うことを検討中だと述べた。

TSMCとソニーグループ、デンソーなどが共同する半導体工場は熊本県菊陽町で建設が進み、年内に完成予定で来年操業を開始する見通し。

政府はTSMCの2棟目建設に関する報道を受けて、歓迎する意向を示した。西村康稔経済産業相は13日の閣議後会見で、「投資計画を具体化する中で、どのようなサポートができるかを考えていきたい」と語った。政府は2022年度第2次補正予算案に最先端の半導体工場建設を支援する補助金を盛り込んでいる。 

熊本県の蒲島郁夫知事は台湾を訪問し、12日には新竹市のTSMC本社で経営陣と面会した。熊本放送(RKK)によれば、蒲島氏は会談内容について「経済安全保障の一翼を担いたいと思い、県内に半導体関連企業の集積を進めている」と話したという。

台湾には半導体生産における世界トップレベルの企業が揃う。台湾経済部によると、2020年時点で台湾の半導体受託生産は世界シェアの7割を占め、TSMCだけでシェア5割を超える。アップル社のアイフォンやノートパソコンに使用される半導体を製造し、ミサイルを含む米国の軍需品メーカーも委託している。

TSMCは海外進出を深める計画を進めている。魏哲家氏は会見の中で「自動車に特化した技術に焦点を当てた」工場を欧州地域で建設することを検討しているが、これも顧客需要や政府支援を受けての動きだという。

TSMCの22年12月通期決算は、売上高が前期比42.6%増の2兆2638億台湾元(約9兆8000億円)、純利益は70.4%増の1兆165億台湾元(約4兆3000億円)となり、それぞれ過去最高を記録した。財務担当は、第5世代(5G)モバイル通信システムと高性能コンピュータ市場の拡大が需要を増加させたと語った。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。