「消されるのはイヤ」白紙革命に参加した女性、動画で訴え 後に消息絶つ

2023/01/29 更新: 2023/01/30

今月16日以降、「白紙革命」のデモ参加者が相次いで中国当局に拘束されていることを告発する動画がツイッターなどで拡散され、波紋を呼んでいる。

「一緒にデモに参加した友人らが相次いで逮捕されている」「皆さんがこの動画を目にした時、私もすでに警察に連行されているかも」「消されるのはイヤ…助けて」デモ参加者だったという若い女性は、約4分間の動画の中でこう語った。

この自撮り動画に映るのは、北京大学出版局の編集者である曹芷馨(26歳)さんであることがのちに明かされた。連絡が途絶えたら、動画を公開するよう友人に頼んでいたという。

昨年11月24日、新疆ウイグル自治区ウルムチ市でビル火災が発生し10人が死亡した。火災当時、「ドアを開けて!」と叫ぶ住民の悲痛な声を記録した動画がネットに広まった。厳格な封鎖措置が深刻な被害をもたらしたのではないかとの見方が拡散した。

この事故をきっかけに、中国各地で反ゼロコロナ運動が始まった。集会やデモの参加者は公然と習政権を批判するスローガンを叫び、自由を表す白い紙を掲げた。後に運動は「白紙革命」と呼ばれ、日本を含む各国でも連帯を示す集会などが行われた。

北京の亮馬河 開かれた追悼集会

昨年11月27日、北京の亮馬河のほとりでウルムチ火災の犠牲集会が開かれた。曹さんは友人5人と共に、ロウソク、花、詩を書いた付箋、白い紙などを持参して参加した。追悼集会は大規模なデモへと発展した。

デモから2日経った29日未明、曹さんら6人は警察当局から呼び出され、24時間に及ぶ「教育」を受けたという。いったんは解放されたが、12月18日以降、友人ら5人は相次いで刑事拘留された。動画を公開した友人らによれば、曹さんとは24日以降連絡が取れないという。

曹さんは落ち着いた口調で、若者を拘束する当局を批判した。

「私たちは命を落とした人を追悼するために参加しただけ。秩序を守り、警察とは何の衝突も起きていない。なぜ当局は私たちを連行するの? 平凡な若者の人生を代償に、当局は私たちに復讐しているの?」

ある情報筋は米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、デモ関連情報が載ったSNSのチャットグループに参加していた約40人が相次いで召喚され、拘留されたと明かした。曹さんも同グループに参加していたという。

人権擁護団体「人道中国」の代表で、天安門事件の元学生リーダーでもある周鋒鎖氏は、「私の知るところでは、曹芷馨さん同様に連れ去られた人の数は40人をはるかに超えている」と述べた。

米拠点NGO「公民力量」の創設者である楊建利氏は、「政権に対する恐怖を弱めた白い紙の威力は相当大きい。白紙運動は国際社会から注目されているため、当局は大々的に逮捕できない。事態が沈静化した頃、連行することで若者に『復讐』しているのだ」とコメントした。

いっぽうで、当局による若者への報復は、「防疫政策の失敗の責任を転嫁するためではないか」との指摘もある。

台湾華人民主書院協会の曾建元理事長は「当局は、突如の規制緩和によってもたらされた感染拡大の爆発の責任を白紙革命やデモを起こした学生たちに投げることができる」と指摘した。

曾氏は国際社会に対し、「白紙革命で声を上げた若者たちを引き続き注目し、北京当局に一刻も早い無罪放免を求めてほしい」と呼びかけた。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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