首都・東京と川を隔てた埼玉県川口市では、中東系移民のクルド人と地域住民のトラブルが大きな問題となっている。暴走行為に交通事故、騒音問題などトラブルは多岐にわたる。なかでも今月初めに発生したクルド人の乱闘騒ぎでは刃物で切りつけられた男性が重傷を負い、事態を重くみた県警が機動隊を投入。負傷者が運び込まれた医療センターは数時間に渡って急患の受け入れができなくなった。
「行政が主導しているような多文化共生は不可能だと、私はずっと言ってきた」と外国人問題に取り組む奥富精一川口市議会議員は取材に語った。まずは外国人が日本のルールと法律を守るべきであり、「もし自分たちのルールが日本の慣習よりも勝っていると思っていたら、うまくいかない」と指摘した。
岸田文雄首相が「外国人との共生社会実現」の必要性を訴える傍で、クルド人問題を抱える川口市のような地方都市のリアルがある。現地取材と奥富氏の話から、子供の教育や就労といった複雑な課題が浮かび上がってきた。
━━6月末に意見書が可決された。その経緯とは。
外国人による犯罪や暴走運転など、不法行為に関する苦情が相次いで各市議会議員のもとに寄せられたことがきっかけとなった。最初は自民党内でも賛否両論だったが、議論の末やはり必要だという結論に至った。
意見書は6月29日に決議され、社会でも大きな話題を呼んだ。県議会でも同じような動きがあり、警察のパトロールが増加したと聞いている。医療センターの事件では警察の機動隊も出動した。住民の間では警察の本気度が感じられたという。
反対に回ったのは共産党と新風会(立民2人、令和1人からなる会派)だけだった。
クルド人の国籍はトルコとなっているため、報道の際に使う県警発表ではトルコ国籍と書くこととなっている。新聞報道では、同情するときはクルド人、犯罪を起こすとトルコ国籍として書かれているとの印象を受けている。
━━地域住民からどのような苦情が寄せられているか。
コンビニでたむろしたり、クルド人同士で喧嘩したりする。そうなると警察車両がやってくることがある。そのほかにも、ゴミ捨て問題やナンパ行為、深夜の騒音、放尿などの苦情が寄せられている。私も実際に目にしたことがある。
不正改造車による暴走運転が問題となっている。狭い道を猛スピードで爆音を立てながら駆け抜けるという昔の暴走族風の行為が確認されている。
2020年10月8日、川口市に住む高齢の男性がトラックにはねられて死亡した。運転していたトルコ国籍で職業不詳の少年(19)はそのまま逃走し、出国しようとしたところ警察に逮捕された。
そのほかにも人身事故に加え、物損事故も起きている。だいたい月に1件、2件ぐらいのペースで発生している。
━━暴走行為はまだ確認されているか。
暴走行為はいまだ観察されている。世の中でこれほど騒がれて、SNSでも盛り上げっているのに、得意顔で示威的な行動をしているのが見受けられる。本当に不思議でならない。せっかく一部のクルド人コミュニティが掃除をしたり、犯罪をやめようと呼びかけをしたり、日本人と地域と仲良くやっていこうという努力を見せるなかで、医療センター前でそのような騒動を起こす考えが全く理解できない。
ほとんどが無免許、無保険。他人名義の車を運転することもあり、事故が起きても警察も取り合わない。捜査が難しいからという面があるいっぽう、警察もめんどくさいのだろう。結局被害者が何かこう申しても警察は取り合わないから、被害者の保険で泣き寝入りするしかない。いまだにそういう現状だ。
意見書でもこの問題を筆頭に取り上げた。不法改造車などをしっかりと取り締まってほしい。
━━仮放免となった者の就労の実態は。
解体業や収集運搬業に従事する者が多い。収集運搬業で最終処分地をしっかりと確保して、コンプライアンスを守っているところは何件かあると思うが、収集運搬、最終処分、中間処分までできている業者がどの程度いるかは不明だ。
さらに、仮放免の者は就労を許可されていない。しかし生活がある以上、働かざるを得ないため働きに出ているようだ。就労すれば源泉徴収され、給与支払い報告書が税理士または経営者経由で地方自治体に提出される。しかし川口市では提出された事例がないということは、市県民税を払っていないということになる。
給与支払い報告書が来て初めて課税対象者になるので、現状では脱税という前にまず課税されてないということだ。対策として、川口市と埼玉県と国税、すなわち3税協力という強い体制を組むことができる。国税は調査権があるため、給与支払い報告書の提出をするよう要請することができる。これは企業にとって圧力にはなるだろう。
難民も恐怖心があるため、自ら働いてると言えないのではないか。相互に首輪を付け合っているようで、とても正常な状態だとは思えない。
━━政治難民なのか。
クルド人の祭り「ネウロズ」で特定の団体の旗が掲げられていたことは聞いている。当初日本にやってきたクルド人には政治思想が問題となった者もいるかもしれない。しかしその後から来た人々は不明だ。親族を頼ってやって来た者もいると思う。
━━クルド人の子供は教育を受けているか。
小学校には通うが、中学校になると、クルド人の男子はほとんど行かなくなるそうだ。女子は通っているが、通わない子も増えてくる。
原因として、日本語が話せず、学業についていけないことが大きいと思う。少し前、小学校4年生の児童がトルコから来日して学校に編入した話を聞いたことがある。日本語を話せない本人にとって楽しい環境と言えるのだろうか。そして日本語教室に行っても、クルド人の子供は読み書きをあまりやらない。母国語も読めないし書けないことが当たり前になりつつある。
生活の習慣も影響を及ぼしていると思う。教育現場の声を聞けば、日本に在留する中国人やベトナム人は学校に通えば一通り読み書きを習得するが、トルコ国籍の生徒は勉強をあまり覚えないということだ。そうすると学校に通ってても面白くないため、やがてドロップアウトしてしまう。
中学生になると不良化する生徒もいれば、働き始める子もいる。時々走っている車のドライバーを見ると、中学生のような顔つきの者もいる。
━━学校に行かない子供は何をしているのか。
中学生の運転は昔見かけたと記憶しているが、ここのところは見かけない。事故も多く、関越自動車道で起きた中学3年生による無免許運転の事故は記憶に新しい。
女子生徒は中学校に通う者もいるが、全員が卒業式に出るわけではない。若い女性は外で見かけることが少なく、ベビーカーを推している姿や、買い物をする程度だ。
━━クルド人の子供が孤立しているということか。
その可能性が非常に高い。そもそも日本人とコミュニケーションをとっている姿は見たことがない。公園に行っても、日本人がいる時間帯にはクルド人は来ない。反対にクルド人がいる時間帯は日本人を見かけない。
クルド人の子供が夜にボールを蹴って遊んでいることも多い。しかし、夜に公園で遊ぶと周辺地域の住民はやはりうるさいと感じる。クルド人も日本人と交わることができないので、面白くない思いをしているだろう。
日本人とクルド人の交流事業も目処が立たない。野球やサッカーといったボール遊びを通して、礼儀やスポーツマンシップを学ぶとともに、楽しさと仲間を得られると思う。しかし一部の保護者に話を伺うと、トラブルを懸念して(クルド人の子供を)入れたくないという声もある。
━━今後どのような対策を取っていくのか。
私の一般質問が元となり、仮放免者の居住実態を把握することに動き出すと思う。なぜなら、仮放免者の居住実態を掴めなければ、激甚災害などが発生した際に、避難行動や人名救助に支障をきたすからだ。また、教育サービスの提供や、不法在留者への対処にもつながる。犯罪摘発の際の身元把握にも役立つだろう。川口市も不法行為を働く者には厳正に対処すると回答している。
今までは2000人のクルド人が居住していると言われてきたが、住民票で確認できるトルコ国籍の住民は1300人だ。この数字は実態を反映していないと思われる。
━━なぜ居住実態の把握が難しいのか。
出入国管理局から身分証明書がファックスで役所に送られてくる。その際、本人が地方自治体に登録を望まないという部分にチェックをすると、その人物の在留カードは送られてこない。そのため、居住実態を把握することができない。
コロナワクチンの接種でも同様の問題があった。身元の確認ができないため、希望者にはみなワクチンを接種した。学校も同様で、教育委員会に申し込みをすれば誰でも学校に通える。
━━奥富様に対する攻撃はあるか。
今はもうなくなったが、最初にこの問題を取り上げた頃には、差別主義者、ヘイトスピーチといったレッテル貼りは多かった。今でもそのような意見は寄せられるが、この問題を取り上げることで社会を喚起する作用があると思う。
━━移民問題は今後どのように対応すべきか。
行政が主導しているような多文化共生は不可能だと私はずっと言ってきた。しかし住んでいる以上は一つの空間に二つの文化が異なる人が共存している。そのため、まずは犯罪や不法行為をなくす、ルールを守る、これらのことを外国人が守るべきだ。強い力を使ってでもそうさせるべきだと思う。それができて初めて次のステップに進める。
最後はお互い尊重しなければいけないが、もし自分たちのルールのほうが日本の習慣や慣習よりも勝っていると思っていたら、絶対にうまくいかない。まず外国人から寄り添うようにしなければ、お互いの共生は不可能だろう。
私の主張は一見すると外国人排斥のように思われるかもしれない。しかし一通り聞いていただければ、お互いの存在を分かりながら居住していく術を話しているとわかるだろう。そのためには川口が先例となり、全国的に同じような問題が発生したときの見本になっていかなければならないと思う。
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