最近、中国が領有権紛争地域である南シナ海付近の約90%を自国の領土と主張する新しい地図を公開した。そうした中、周辺国の反発が一段と強まっている。
中国側に公式抗議した国はインド、ネパール、ベトナム、台湾など少なくとも6か国に増えた。
中国自然資源部は先月28日、周辺国と国境・領有権紛争を起こしている地域をすべて自国の領土として表示した「2023標準地図」を公開した。
これまで中国は南シナ海周辺に沿ってU字型に9本の線(九段線)を引き、その中の約90%の領域が自国の領土だと主張してきた。
これに加えて、今回公開された地図には、台湾まで自国領土に含む線が一つ追加されている。中国はこれを「十段線地図」と呼んでいる。
地図が公開された翌日の8月29日、インド政府は外交ルートを通じて中国に強く抗議した。
インド外務省のアリンダム・バグチ報道官は「(中国の)根拠のない主張を拒否する。中国のこのような行動は国境問題をさらに複雑にするだけだ」と表明し た。
中国は今月9~10日までインドで開かれるG20首脳会議を前に、新しい地図を公開した。中国外交部は「今回のG20首脳会議に習近平国家主席の代わりに李強首相が出席する」と明らかにした。
中国の新地図と関連し、マレーシア外務省は「中国の一方的な海洋領有権主張を拒否する」とし、「中国が公開した新地図がマレーシアのサバ州とサラワク州に対する領有権を侵害する」と抗議した。
また「マレーシアは中国が『2023標準地図』で主張することを認めていない」とし、「この地図一つでマレーシアを拘束することはできない」と声を上げた。
「国境、領有権問題は非常に複雑で敏感な問題なので、1982年に採択された国連海洋法条約(UNCLOS)に基づいて平和的に解決しなければならない」と強調した。
ネパール政府も「私たちは2020年にネパール議会で満場一致で承認した(領有権に関する)政治・行政地図について確固とした明確な立場を持っている」と表明し、その上で、「中国と周辺国はこれを認め、尊重すべきだ」と促した。
台湾の主権を歪める中国地図
台湾は「私たちは中国の一部ではなく、中国共産党(中共)が台湾を統治したことはない」と断言した。
台湾外交部のリュウ報道官は「中共が台湾の主権をいくら歪曲しても、国際社会が認める『台湾の存在』を否定したり、変えたりすることはできない」と明らかにした。
中国は「2023標準地図」で台湾を「台湾省」と表示し、自国の領土だと主張している。中共は、台湾が独自の民主政府のある独立主権国家であることを否定すると同時に、あらゆる手段を使って自分の版図に組み込もうとしている。
また、ベトナム外務省のパム報道官は声明を通じ、「中国の新しい地図が南シナ海のパラセル諸島とスプラトリー諸島に対するベトナムの主権を侵害している」と批判した。
「地図に表示された中国の領有権主張は無効」とし、「これは国際法、特に海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に違反する」と指摘した。
フィリピン外交部は「中国が新しい地図を公開したのは、南シナ海のフィリピン領土に対する主張を正当化しようとする試み」とし、「中国は関連国際法を遵守しなければならない」と伝えた。
また、「中国が2016年の国際常設仲裁裁判所(PCA)の判決に従って責任を持って行動するよう促す」と付け加えた。
PCAは、南シナ海に対する中国の領有権主張が国際法で根拠がないと判決したことがある。それにもかかわらず、中国はこの判決を無視して同じ立場を貫き、ベトナム、マレーシア、台湾、ブルネイ、フィリピンなど周辺国と摩擦を起こしている。
いっぽう中国外交部は、「2023標準地図」に対する周辺国の抗議が続くと、「客観的かつ合理的にアプローチする」という立場を示した。
また「南シナ海問題に対する中国の立場は一貫して明確だ」とし、「社会各界に標準地図サービスを提供し、国民の地図使用意識を高めるための目的」と明らかにしている。
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