ジャニー喜多川氏の性加害問題について、ジャニーズ事務所は2日、東京都内で記者会見を行った。終盤には、一社一問の会見設定を巡り、メディア間で怒号が飛び交う事態となった。この中で、同事務所のタレントで関連会社社長の井ノ原快彦氏が「子供たちが見ている。ルールを守ってください」といさめる場面が見られた。
東山紀之社長は、被害者への謝罪を再確認し、補償と救済を進める決意を明らかにした。同事務所は廃業手続きを進める一方、若手の育成を目的とした新会社を1か月以内に設立すると発表。新会社の名称はファンクラブでの公募を予定している。
新会社は、旧事務所所属タレントとは芸能活動の自由度が高いエージェント契約を結ぶ予定で、新たに育成される若手タレントは新会社に所属することとなる。社長には東山紀之氏、副社長には井ノ原氏がそれぞれ就任。旧事務所代表取締役の藤島ジュリー景子氏は役員としては参加しない。
東山氏によると、被害者救済委員会には9月30日までに478人からの被害申告があり、その中で325人が補償を求めている。11月からの補償実施を予定している。また、旧事務所は10月17日に「SMILE-UP.(スマイルアップ)」という社名に変更する。
藤島ジュリー景子氏は、100%の株主として旧事務所の代表取締役を続けるものの、関連会社を含む全ての役職から退く意向を示し、補償手続きを進めると同時に廃業する方針を明らかにした。藤島氏は井ノ原氏が代読した手紙の中で、「叔父ジャニーと母メリーが築き上げたものを終わらせることが、被害者への最大の補償である」との考えを述べた。
旧事務所所属タレントたちの楽曲など知的財産への権利は新会社へと順次移譲するという。
被害補償を申し出た300人以上について、東山氏は「これほどだったのかという思いは強い。勇気を出して言ってくれたんだろうと。今後も(被害申告)人数は増えるかもしれない。廃業するが救済、補償は続ける」とした。
記者からの質問では、退所したタレントが活躍できないよう旧事務所からマスコミへの圧力が従来はあったと指摘。新会社の退所タレントたちの対応を尋ねた。
東山氏は「彼らも同じ土俵にたつ表現者。退所したから遠ざけるということはない。(協働した活動を)見たくなるような化学反応を見せたい」と述べた。井ノ原氏は「苦楽を共にした仲間。ずっと青春時代を過ごしてきた仲間と良い関係を続けたい。自分の仲間に圧力をかけるなんてない」と切り捨てた。
会見終盤、指名の順番を待たずに複数の記者が大きな声で質問をはじめ、会場は一時騒然となった。井ノ原氏が「自分にも子供がいる。ジャニーズJr.の子供たちも見ているかもしれない。何より被害者の方に『自分たちのことでこんなに揉めているのか』なんてところを見せたくない。ルールを守っていく大人たちの姿をこの会見では見せてあげたい。お願いします」と強く呼びかけると、会場からは拍手が起こった。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。