すさまじい経済不況が続く中国では、多くの企業が製造工場などの閉鎖を余儀なくされており、冬の寒さにも増して「人員削減の大寒波」が、都市部や地方を問わず襲いかかっている。
そのようななか、中国の一線都市である深センや上海では「例年より早く(旧正月の)帰省ラッシュが、すでに始まった」とするトピックが中国SNSのホットリサーチ入りしている。
2024年の旧正月は、新暦2月10日が元旦に当たる。それよりも、なんと2か月以上も早いこの時期から「正月休み」に入るというのだ。
この頃、 短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国のテクノロジー企業「字節跳動(バイトダンス)」はゲームブランドの閉鎖や主流ビデオゲーム市場から完全撤退を発表した。それにより、千人を超える従業員は解雇されるといわれている。
同じように、いまや大手民間企業であっても大幅な人員削減を余儀なくされている。各地の大小の企業は相次いで倒産しているが、解雇にあたり正当な補償を受けられない従業員たちが集まって、集団抗議する事例が後を絶たない。
なかには、倒産や解雇はしないものの、生き残るために「前倒しで従業員に長期休暇を与える」という企業も続出している。
そのような場合、業務を再開する「期日」は一応通知されているものの、本当にその通りに再開できるかどうかは全く分からない。言うまでもなく「休暇中の賃金」は支給されないのだ。
これらは、生産できない企業および収入を失う労働者、いずれにとっても極めて厳しい状況である。実質的に無職になった労働者が、この経済不況のなか、都市部で新たに仕事を見つけられる可能性はゼロに近い。
そのため、解雇されたり、あるいは「長期休暇を取らされた」大勢の出稼ぎ労働者は、生活のあてもないまま故郷への帰省を余儀なくされている。
今年は早くも10月末から「深センの旧正月の帰省ラッシュが、例年より数か月早くやってきた」のトピックスが中国SNSウェイボー(微博)のホットリサーチ入りしていた。
10月末といえば、今から1か月も前である。その当時、以下のような世相を嘆く動画が拡散された。
「百万人を超える労働者たちが早々と深センを離れたと聞いた。なかには深センを去る時、二度とこんなところに来ないぞ、などと悲痛な叫び声を上げる人もいた」
「今年は例年より3か月以上、早く帰省することになった。しかも、それがホットリサーチ入りしているという。これは一体、どういうことだ」
深センに限らず、上海でも最近、例年より早い帰省客で混雑する駅の様子を映した動画が出回っている。動画撮影者は「上海の帰省ラッシュは、すでに始まった」と説明している。
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