近年、中国の不動産セクターは「重い病」に倒れたままである。とくに製造業は縮小され、解雇される従業員が激増するとともに、再就職できないため失業率は急上昇している。さらに、不景気を後押しするように、人口が減少するいっぽうであることは、中共政府も隠しようがない。
そのようななか、中国では、商業オフィスビルの空室率が24.5%に達している、という統計が出ている。
不景気に伴う企業倒産の増加がもたらす空室率に加え、経済が好調であった頃に始まった建築物の完成も重なって、いまや全体的に供給過剰の局面となった。賃料は下落しているが、それでも借り手はつかない。
四半期ごとに中国の18の主要都市のオフィス空室率を調査し報告を行ってきた、世界最大手の米国商業不動産サービス会社「CBRE」が2月12日に公表した最新の統計によると、「昨年末の時点で、中国全国のオフィス空室率は24.5%。前年より1.6ポイント上昇した」という。
調査対象となった「一線都市」のうち、首都・北京の商業ビルの空室率は21.7%と、2009年以降で最高となった。このほか、上海は19.8%、広州省深セン市は20.9%、広州省広州市の空室率は18.2%である。中国の「一線都市」とは、北京、上海、広州、深セン、武漢、重慶、杭州、成都などを指す。
韓国メディア「朝鮮日報」によると、同メディアの記者が北京市で現地調査を行った際に目にしたのは、空室ばかりでガラガラのオフィスビルの惨状だった。
国際的に著名な建築家ザハ・ハディッド氏が手掛け、北京のランドマークになっている超高層ビル「望京SOHO」でさえ、人の気配がなく、閑古鳥が鳴いていたという。
その「朝鮮日報」の記者は、北京で目にした光景を次のように表現した。
「あるビルに入った時、押し寄せてきたのは静寂だった。ビル内の店は、ほぼ全て潰れていた。ある空き店舗のドアには借り主募集の看板が掲げられ、また別の空き店舗に残った家具類には、ほこりが分厚く積もっていた。ビル内の廊下に立ってみると、そこにはどこまでも続く暗闇があった」
「この状況が、少なくとも1年は続いている」。同ビルの管理人は、そのように記者に明かしたという。
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