欧州委員会は3日、中国の再生可能エネルギー事業者2社がルーマニアでの公共事業の入札に際して、中国当局から不当な補助金受け取りの疑いで調査を開始したと発表した。EUは中国製の電気自動車(EV)についても補助金調査を行なっており、国際社会の商慣行を破壊する中国共産党の経済戦・貿易戦に対抗する姿勢を見せている。
調査はEUの外国補助金規則(FSR)に基づき、欧州委員会が職権で行う。不当な低価格によって市場を歪ませる恐れがある場合には、欧州委員会が契約獲得を禁止することができる。
調査対象となったのは、太陽光発電を手がけるロンジ(LONGi)社を含むENEVOグループと、上海電気英国(上海電気集団の英国子会社)、そして上海電気香港国際エンジニアリングによる2つのコンソーシアム(企業連合)だ。両社とも3月4日に届出書を提出しており、8月14日までに最終決定が下される。
2023年12月に発効したEUの外国補助金規則(FSR)によれば、外国政府から一定額以上の補助金を受ける企業は、その報告義務を負う。EUはかねて外国政府から補助金を受け取った企業が公正な競争を損なうことを懸念しており、同規則を通じて特定企業が不当な利益を得ることを防止する狙いがある。
欧州委員会は声明で、「すべての提出書類を予備的に検討した結果、入札に参加した2社に綿密な調査を開始することが正当であると判断した」と指摘した。
中国共産党が国際社会の商慣行を無視して、各国で廉価多売を行なっていることが問題となるなか、EUは進んで対策に乗り出している。
欧州委員会は3月5日に発表した文書で、中国製EVが補助金を受けていると指摘した。大量に輸入される中国製EVにより、EUの生産者が不可逆的な損害を被る可能性があるとした。
3月7日には中国製のEVの税関登録を開始し、不当な補助金を受けているか否かを調査し、規則違反があれば遡って課税する可能性があるとした。
中国製太陽光パネルの問題は、日本も決して他人事ではない。国内の大規模な太陽光発電施設(メガソーラー)で使われる太陽光パネルの多くは中国製だ。民主党政権でFIT(固定価格買取制度)法の制定に携わった長尾敬前衆院議員は以前、大紀元の取材に対し、「当時は日本の太陽光パネルが世界一だった。でも非常に高価だった」、「中国の太陽光パネルが参入したら日本は価格競争では勝てない」と語った。
長尾氏はまた、中国企業は「太陽光パネルは何年持つか分からないけど、この瞬間に儲けられればそれでいい」というスタンスだと指摘した。「生活インフラの一番の基盤となる電力インフラの話になると、事業者としては、目先の10年、20年ではなく、50年先、100年先のことも見据えて、責任を持って進めなければならない」とし、中国共産党の補助金に突き動かされた廉価攻勢には根本的な問題があると指摘した。
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