中国ではまたもや、大規模な住宅品質問題が発覚した。
上海市嘉定区(かていく)にある今年引き渡しを予定している新築の高級集合住宅「越秀保利嘉悦雲上小区」で水漏れや消防基準未達などの深刻な欠陥が発覚した。
昨年10月から同マンションは「虚偽宣伝と品質問題」で苦情が相次いでいたが、開発業者は改善を拒否し続けた。
ついに所有者たちは3月21日、嘉定区政府前で集団で抗議を行ったが、当局は警察を動員し鎮圧したことがわかった。
現地からの映像によると、警察は道路を封鎖し、抗議する所有者たちを囲い込んだ。所有者たちは「自分たちは合理的かつ合法的な権利を主張しているだけだ」と訴えているが、何はともあれ安定維持至上の当局は、強硬な姿勢を崩さなかったと言う。
抗議者(マンション所有者)たちは逮捕され、抗議行動は強引に鎮圧された。
(上海市嘉定区の政府前で集団抗議するマンション所有者たちと鎮圧するために当局が動員した大勢の警察)
億ションでも
問題のマンションは、価格は1戸500~800万元(約1億~1億6千万円)もする、いわば高級マンションであり、地下鉄駅に近く、交通利便性と「嘉定区のランドマーク物件」として、開発業者が大々的に宣伝したかいもあって、購入希望者が殺到していたと言う。
それでも「手抜き工事」される運命からは逃れられなかったようだ。
室内の水漏れ、消防階段の破損、窓ガラスの自然破裂、建築ゴミの放置(あるいは適当に埋められる)といった問題が次々と報告されている。
SNSでは「モデルルームの宣伝と実際の建物が全く異なる」「仕様は大幅に格下げしている」との怒りの声が相次いだ。
今のところ、全1600戸のうち80%の所有者が「修繕がなければ入居を拒否する」と声明を出している。

手抜き工事
中国では昔から「おから工事」と呼ばれる手抜き工事による住宅品質問題が頻発している。
例えば、2023年には広州市の高層マンションで外壁タイルが次々に落下する事故が発生し、多くの住民が負傷した。また、2024年には重慶市で新築マンションの基礎が沈下し、傾斜が問題となった。いずれも手抜き工事と施工のずさんさと当局の監視不足が原因だった。今回の「上海の億ション事件」は氷山の一角に過ぎない。
いっぽうで、住民の正当な抗議に対し、当局はいつの時も弾圧を行ってきた。これはもはや中国の住宅市場が抱える構造的な問題であり、品質よりも利益を優先する開発業者と、住民の不満を抑え込む当局の姿勢、このままでは、この「圧力鍋」は、いつか破裂するだろう。
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