米空母「ニミッツ」南シナ海展開と中共空母「遼寧」の第二列島線突破

2025/06/12 更新: 2025/06/12

米海軍の航空母艦「ニミッツ」は、南シナ海で作戦行動を展開し、中国共産党(中共)海軍も活動圏を太平洋へ広げ、空母「遼寧」が初めて第二島嶼線を越えて航行した。米中双方の空母が、同時期に西太平洋に展開する状況となり、地域の安全保障環境が一段と緊張を深めた。

米第七艦隊の戦力展開と「ニミッツ」の南シナ海進出

米第七艦隊は、米海軍最大規模の前方展開部隊であり、50隻を超える艦艇と150機以上の航空機を擁して、西太平洋およびインド洋で強力な軍事力を展開する。艦隊は同盟国やパートナー諸国と連携し、強固な戦闘態勢を保持すると主張した。

3月下旬に「ニミッツ」空母打撃群は、定期展開任務を開始し、西太平洋へ進出し、マラッカ海峡を短期間通過した後、5月下旬に、再び南シナ海に展開した。南シナ海では、中共と周辺国が領有権を主張しており、この地域における米空母の展開は、中共海軍が同時に2隻の空母を配備している情勢の中で行われた。

中国空母「遼寧」、第二列島線を初めて突破

日本政府の観測によれば、中共空母「遼寧」は初めて硫黄島東方海域を航行し、艦載機による発着訓練を実施した。その動きによって、「遼寧」はいわゆる第二列島線を越えたことになり、中共海軍の太平洋進出が新たな段階に入ったことを示した。

6月8日に撮影された衛星画像(@MT_AndersonがXで公開)には、空母「ニミッツ」が西フィリピン海で行動中である様子が映っいた。画像によって、同空母がスカボロー礁の北東約167マイルの位置に展開していることが確認できた。

この海域は、2012年以降、中共が実効支配下に置いており、フィリピン北部ルソン島の西約138マイルに位置し、フィリピン政府は、この海域を「西フィリピン海」と称し、自国の排他的経済水域(EEZ)内に含めていた。

6月2日に、米海軍が公開した公式写真には、空母「ニミッツ」が南シナ海で航行している様子が写されていた。説明文では、空母打撃群の展開が「自由で開かれたインド太平洋」の維持に対する米海軍の揺るぎない意志を示すものであると記されていた。

「ジョージ・ワシントン」も西太平洋へ進出

現地の船舶観察者による写真から、米空母「ジョージ・ワシントン」は、6月10日に横須賀海軍基地を出港したことが判明し、6月4日には近海での例行任務を終えて横須賀に戻っていたばかりだった。

米第七艦隊は、「米太平洋艦隊は常に行動を継続しており、アメリカおよび同盟国・パートナー諸国の安全、自由、繁栄を守り、地域の平和と安定を維持するという責務を遂行している」と説明した。

米海軍指揮官の見解と展望

4月に、「ニミッツ」打撃群の指揮を執る空母打撃群第11司令官マキシミリアン・クラーク少将は「空母打撃群の前方展開は、海上における戦闘力を強化し、我が国と指導部に対して、あらゆる危機や突発的事態に対応可能な多様な軍事オプションを提供する準備を整えるものである」と語った。

「ニミッツ」打撃群が今後、南シナ海からフィリピン東方のフィリピン海に移動し、「ジョージ・ワシントン」打撃群と合同演習を行うかどうかは、現時点で確定していない。

呉畏
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