防衛所得増税 27年1月開始で検討 

2025/12/05 更新: 2025/12/05

複数のメディアによると、防衛費の財源確保をめぐり、所得税に一定割合を上乗せする「防衛所得増税」について、政府・与党が2027年1月の実施を軸に検討を進めている。安全保障環境の変化に対応し、防衛力を継続的に強化するための財源確保が目的とされる。

案では、現行の所得税に1%を付加し、年間で約2千億円超の財源が見込まれている。あわせて、2037年に終了予定の復興特別所得税を1%引き下げ、負担増を抑える調整が行われる見通しだ。ただし、この引き下げを補うため、復興特別所得税の課税期間を延長する方針が決まっており、長期的には納税者の負担が増える可能性が指摘されている。

政府は2023〜2027年度の5年間で必要な防衛費を約43兆円と見込み、財源の確保が大きな課題となっている。国の安全保障方針では、防衛費をGDP比2%へ段階的に引き上げる計画が進められており、装備体系の更新や人員体制の整備が複数年にわたって実施されることから、財源確保の前倒しが検討されている。

財源の在り方について政府は、増税のほか、歳出改革や決算剰余金の活用など、複数の手段を組み合わせる方針を示している。

一方、市民の間では、防衛費の増額そのものには一定の理解があるものの、所得税の負担増には慎重な声が多い。「まず既存の支出に無駄がないかを見直すべきだ」との指摘のほか、補助金制度の重複や効率性の課題、独立行政法人や関連団体への資金の透明性などを見直す必要があるとの意見も聞かれる。また、経済面からは、「増税よりも行き過ぎた円安の是正が急務だ」との声も上がっている。

政治面では、主要野党の一部が増税に慎重姿勢を示しており、今後の国会審議でどこまで合意形成が進むかが注目されている。防衛費拡充と国民負担のバランスをどのように図るのか、議論が続きそうだ。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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