4日の衆院予算委員会で、日米が合意事項を記した共同文書を作成していないことに野党議員が追及し、石破茂首相は日米間で合意文書を交わすことに否定的な見解を示した。
立憲民主党の野田佳彦代表は、関税措置をめぐる日米合意について「2019年の日米貿易協定では、文書を作ったが事実上破棄された」と指摘。合意文書を作成しないことで「トランプ政権がどんどん拡大解釈して、日本はぼられ続けるのではないか」と懸念を示した。
こうした懸念に対し、石破首相は「相手が普通の人ではない。ルールを変えるという人なので、文書を作ることによって関税の引き下げが遅れることを一番恐れている」と発言した。
その上で、「最も国益に関わる自動車関税をきちんと引き下げる大統領令を発出することに全力を注ぐべきだ」と述べたうえで、「何が一番国益に資するべきかを慎重に考えた結果、合意文書は作らないと判断した」と語った。
石破首相は「合意文書を作るメリットもデメリットもあるが、デメリットの方が大きい」とも強調した。
日米交渉をめぐっては、トランプ米大統領が日本に対し、7日から15%の相互関税を課す一方で、自動車関税を合意通り15%に引き下げる時期は未定。また、総額5500億ドル(約81兆円)にのぼる対米投融資についても、日米両政府の説明にズレが見られる。
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