広東省では今、「チクングニア熱」という蚊が媒介する病気を理由に、自治体が大規模な防疫キャンペーンを展開している。
しかし、この病気は人から人へは感染せず、致死性も高くない。しかし地元政府の通達には「高致死率」「変異株」といった文言が並び、全市民に無料検査を義務づけている。
こうした広東省当局のやり方については、「リスクを過度にあおるのは、防疫を産業化するための布石だ。無知ではなく、周到に仕組まれた恐怖経済だ」との指摘も相次いでいる。
流出した情報によれば、検査試薬は1人あたり98元(約2千円)と異常に高額で、新型コロナの検査薬(3.5元)とは桁違いだ。人口500万人の都市で全員検査を行えば、財政負担は100億円を超える計算になる。
それほどの巨額契約を落札したのは、設立からわずか3か月、登録資本金50万元(約1千万円)の小さなバイオ企業で、衛生当局幹部の親族が関与しているとの疑惑が広がっている。
さらに、市場価格の7倍で薬剤を仕入れて蚊の駆除を請け負う業者や、安宿を「隔離ホテル」と称して通常料金の数倍で利用させる例も明らかになった。いずれも官僚の親族が経営する企業だった。
こうして巨額の税金が「市民を守るための防疫」という大義名分のもと、実際には利権グループに流れているとみられる。

市民からは「蚊まで金もうけに使われた」「コロナで味をしめたのだろう」との声があがり、専門家も「恐怖をあおって商売にしているだけだ」と批判する。防疫は本来、市民を守るためのものだが、今や財政を食い物にする仕組みに変質してしまっている。
そして市民の口からは、こんな嘆きがもれる。「この国に希望はない」


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