カナダ漁業・海洋省 マリンランドのシロイルカ 中国輸出を却下

2025/10/02 更新: 2025/10/02

カナダ漁業・海洋省は10月1日、オンタリオ州の海洋テーマパーク「マリンランド」が30頭のシロイルカを中国・珠海の「珠海長隆海洋王国」へ輸出するために申請していた許可を却下した。

カナダのジョアンヌ・トンプソン漁業・海洋大臣は、国会議事堂での発言の中で、同園が鯨類を中国の水族館へ輸出する許可を政府として承認しない方針を明言した。トンプソン大臣は、この取引がカナダで2019年に可決された「鯨類・イルカ類の拘束を終わらせる法律(Ending the Captivity of Whales and Dolphins Act)」に反すると指摘した。

同法は、鯨やイルカを娯楽目的でのショーや拘束飼育に使用することを禁じている。

トンプソン大臣は、良心および法的観点から輸出を承認できないと述べた。輸出を認めれば、鯨たちは今後も拘束された環境下で娯楽目的のショーに使われることになり、良心に反するという。輸出申請が「漁業法(Fisheries Act)」の関連規定を満たさない限り、再審査は行わない方針である。

「これらの鯨には安住の地が必要だが、長隆海洋王国のようなテーマパークはその場所ではない」「すべての鯨は海に属しており、水槽の中に閉じ込めて娯楽の道具にすべきではない」とトンプソン大臣は述べた。

この輸出対象となっていた鯨たちは、当面の間ナイアガラの滝近郊にある「マリンランド」に留まることになり、今後の再配置については同園が判断する。

マリンランドは、遊園地・動物園・水族館の機能を併せ持つ大型のテーマパークであり、鯨類の飼育数においては世界有数である。しかし長年にわたり、同園の飼育環境の悪さに対して批判が続いている。

カナダ通信社が内部文書および政府の公式声明をもとに整理したデータによると、2019年以降、マリンランドでは、1頭のシャチと19頭のシロイルカを含む、計20頭の鯨類が死亡している。

2020年以降、オンタリオ州の検査官は同園に対し200回以上の検査を実施し、33件の是正命令を出している。

マリンランド側は、今回の輸出許可の却下に対し、カナダ政府の決定に失望を表明した。

同園は声明で、「数年にわたりシロイルカたちの移送先を探してきたが、人道的に国外の認証施設へ送ることが、生存と適切なケアを保障できる唯一の現実的な選択肢であると考えている」と述べた。

さらに、「今回の決定により、これらのシロイルカは閉鎖された施設内に閉じ込められることになり、今後の見通しは不透明である。加えて、園としてはこれらの鯨を養育し続けるための資金を確保できるかどうかも不確かだ」と懸念を示した。

マリンランドは、2023年に経営上および財務上の理由から売却を発表し、2024年夏の終わりに閉園した。現在も再開しておらず、園とその周辺の土地の買い手を探しているが、まだ見つかっていない。

カナダの現行法では、既存の鯨類には拘束飼育の禁止は適用されないが、繁殖は禁止しており、園側はこの規定を遵守する必要がある。

曾子衡
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