中国・広西チワン族自治区では、台風の影響による豪雨で洪水が発生し、10月2日時点で28本の河川が警戒水位を超えた。百色(ひゃくしょく)市や崇左(すうさ)市を中心に家屋や道路が水没し、住民が孤立する被害が出ている。しかし、国営メディアは災害をほとんど報じず、現地の声は遮断されている。
地元の消防当局によれば、洪水の深刻な地域では街全体が水にのまれ、住宅の1階から2階にまで達する浸水が確認され、商店街も完全に水没した。警戒水位を超えた河川はなお水位が上昇を続けているという。
現地の住民は「農作物はすべて流され、家の中も泥水でめちゃくちゃになった。どこへ避難すればいいのか分からない」と声を震わせた。別の住民も「水がどんどん上がってきて、逃げ遅れた高齢者もいた。自力で助け合うしかない」と語り、救援の遅れに強い不安を抱いている。
(被害状況)
これほど深刻な災害であるにもかかわらず、中国共産党系の官製メディアは一切報じていない。代わりに、SNS上には「建国記念日(国慶節)」の連休に関する観光や娯楽の情報ばかりがあふれている。
いっぽうで、被災の実態を伝える投稿が次々と削除され、情報の拡散は阻まれている。被災民たちは「洪水は特大災害なのになぜ報道されないのか。私たちには本当に助けが必要だ」と切実に訴え、怒りと不信を募らせている。
また、ネット上には「芸能人は簡単にトレンド入りするのに、洪水は話題にならない」と不満の声が上がった。さらに「広西の自治は『自分たちで自分を救う』ほうの自治か!」と揶揄する投稿もあり、住民の孤立感と当局への不信が色濃く表れている。
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