参議院本会議で行われた代表質問で、参政党の神谷宗幣代表は高市早苗首相に対し、党の基本理念である「反グローバリズム」の立場から、経済政策や外国人政策などについて政府の方針を質した。
神谷代表は「日本人ファースト」を掲げ、消費税廃止を含む大胆な減税策について質問。これに対し高市首相は、経済成長を重視する姿勢を示しつつも、消費税減税には慎重な考えを表明し、両者の基本姿勢の違いが浮き彫りになった。
減税 対 責任ある積極財政
神谷代表は、政府が掲げる「責任ある積極財政」の具体策を問い、「これまで30年間の誤りを繰り返すだけではないか」と疑問を呈した。国民負担率が上昇を続ける一方で国民は豊かになっていないと指摘し、「これ以上(税金を)集める前に、減税によって国民の自由な選択でお金が使える環境を整えるべきだ」と主張した。
また消費税について、神谷代表は「利益の有無に関わらず売上の一部を納める第二法人税だ」と厳しく批判。日本経済の血流を最も止めていると考えられるのが消費税とし、経済再生の即効性ある対策として、消費税とインボイス制度の廃止を強く求めた。
これに対し高市首相は、「経済あっての財政」を基本とし、戦略的な財政出動によって経済成長を促し、「税率を上げずとも税収を増加させることを目指す」と答弁。ガソリン税などの暫定税率廃止は検討しているとしながらも、消費税の引き下げについては「選択肢として排除しない」としつつ、「事業者のレジシステム改修に一定の期間がかかる」と述べ、即時実施には慎重な姿勢を示した。
削減すべきは議員の定数ではなく外国人の受け入れ数
神谷代表は、明確な方針がないまま外国人労働者の受け入れが拡大している現状に触れ、「国民が削減すべきと感じているのは、議員の定数ではなく外国人の受け入れ数だ」と述べ、国民の不安が広がっていると指摘した。
欧州の事例を挙げ、安易な移民受け入れは経済成長に繋がらず、社会保障や治安維持の負担を増大させたと主張。政府が事実上、無制限の受け入れを可能にしているとして、今後の外国人受け入れを抑制的に運用する考えがあるか質した。
高市首相は、「人手不足の分野において外国人材を必要とすることは事実」と認め、育成就労制度や特定技能制度については、受け入れ上限数を設定するなど「適切に運用していく」と回答。また、今後の基本方針について、関係閣僚会議で調査・検討を進める考えを示しました。
公共インフラに安全保障上のリスク
神谷代表は、水道や郵政などの公共インフラの民営化は、国民の富の海外流出や安全保障上のリスクにつながると懸念を表明した。特に郵政民営化については、海外資本が関与しうる構造を問題視し、「国の富の流出を防ぐため、郵政の再公営化を主張する」と述べた。
これに対し高市首相は、郵政民営化について「全国約2万4千の郵便局ネットワークを維持しつつ、国民の利便性は総じて向上している」と成果を強調。NTT法についても、国際競争力強化の観点から「改廃を含めて検討する」と述べ、民営化路線を維持する考えを示した。
今回の質疑では、国のあり方を巡る両者の根本的な考え方の違いが鮮明となった。
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