防衛省 日鉄 呉跡地を取得 多機能複合防衛拠点へ

2026/08/28 更新: 2026/08/28

防衛省と日本製鉄は8月28日、広島県呉市にある同社瀬戸内製鉄所呉地区の跡地約130ヘクタールについて、防衛省が取得する土地取得契約を締結した。跡地には、自衛隊の活動施設や防衛装備品の製造・研究施設、防災設備を備えた「多機能な複合防衛拠点」を整備する構想だ。複数のメディアが報じた。

共同通信によると、小泉進次郎防衛相は同日の記者会見で、「呉は海上自衛隊の主要拠点を有する。わが国の安全保障上、極めて重要な地域だ」と述べ、新原芳明呉市長は「雇用の拡大や先進的な研究の実施など、さまざまな面で市の活性化に結びつく」とのコメントを発表し、地域経済への効果に期待を示した。

2020年に製鉄所閉鎖を発表

呉市では1903年に大日本帝国海軍の根拠地である呉鎮守府が開庁し、軍艦の製造・修理、兵員の徴募・訓練、港湾の防備などを担う軍港として発展した。戦後は製鉄業が地域経済や雇用を支え、「鉄の街」としての産業基盤を形成してきた。

日本製鉄は2020年2月7日、呉地区にある高炉2基を2021年9月末までに休止し、2023年9月末をめどに全設備を休止する方針を発表した。関連企業を含む数千人の雇用や取引先への影響が課題となった。2021年9月29日には高炉の吹き止めが行われ、2023年9月末をめどに全設備を休止して閉鎖する方針に沿って、段階的に措置が進められた

閉鎖方針の発表を受け、広島県、国、呉市は2020年2月10日、「日鉄日新製鋼(株)呉製鉄所に係る合緊急対策本部」を設置し、離職者や取引先企業への支援を進めた。防衛省は2024年3月、跡地を多機能な複合防衛拠点として活用する構想を提示した。防衛省は2025年3月31日、呉市議会に跡地のゾーニングとなる土地利用計画を報告し、市の要望に対する回答を示した。その後も4者で協議を続け、今回の土地取得契約に至った。

自衛隊、産業、防災の機能を集約

新たな拠点では、庁舎や隊舎などを整備し、自衛隊の活動や隊員の生活を支える基盤を設ける。既存の海上自衛隊拠点と連携し、呉地区における防衛機能を強化する。

民間企業による防衛装備品の製造施設や、先進的な研究施設を設置する構想も示されている。製造や研究開発を通じて防衛産業を振興するとともに、製鉄所の閉鎖で失われた雇用に代わる新たな雇用の創出を目指す。

防災面では、ヘリポートや物資集積場を整備する。大規模災害の発生時には、地域の災害対応力や防災機能を向上させるための拠点として活用される方針だ。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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