米議会の超党派議員25人は2日、トランプ政権宛てに書簡を送り、中国当局が2020年に導入を目指す企業版社会信用システムを調査するよう求めた。議員らは、中国当局が同システムを利用して、米企業に技術情報の移転を強要する恐れがあると批判した。
中国当局の企業向け社会信用システムの対象には外資企業が含まれる。同システムでは、納税状況、環境保護、製品の品質などに関する企業活動の情報を収集し、その中国経済に貢献した程度で各企業をスコアリングして格付けを行う。信用スコアの低い会社は、罰則として融資が不利になったり、投資が制限されたり、納税額の増加が求められたりする。さらにブラックリストに載せられる可能性もある。
米議員らは、このシステムで米企業が技術研究活動を中国国内に移す可能性があると懸念した。ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表宛ての書簡において、議員は、中国の企業版社会信用システムは「外国企業への干渉を正当化するための手段だ」との認識を示した。
同書簡によると、米政府の制裁対象である中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と、中国IT最大手のアリババ集団や騰訊控股(テンセント)などから構成する企業連合が、企業信用評価に関するデータや情報の管理を行うという。
マイケル・ベネット上院議員(民主党)は声明で、「中国当局が近年報道機関とインターネットなどに対する検閲を強化した。その企業版社会信用システムには同様の問題があり、警戒しなければならない」とした。
米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)4日付によると、米有識者は、同信用システムは米中通商協議の新たな論点になると認識する。有識者は、米企業だけでなく、中国に進出しているすべての外資企業が同システムの対象になると警告した。
中国EU商会は今年8月、ドイツの市場調査会社との共同調査報告を行い、「中国の企業版社会信用システムは、中国国内で事業を展開する欧州企業に極めて大きな影響を及ぼし、リスクをもたらす」と指摘した。
(翻訳編集・張哲)
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