リトアニアのガブリエリュス・ランズベルギス(Gabrielius Landsbergis)外相はこのほど、同国がすでに中国と中東欧17カ国の経済協力枠組み「17+1」から脱退したことを明らかにした。外相は、欧州連合(EU)の真の結束のために、他の国も「17+1」から離脱する必要があるとの認識を示した。
ランズベルギス外相は米政治専門紙「ポリティコ(Politico)」(21日付)に宛てた電子メールで、「17+1はもう存在しない。リトアニアは、現実的に考え離脱した」と明かした。
外相は、リトアニアが抜けた後の中国当局との「16+1」の枠組みよりも、「EUはより団結し、より効率的な27+1というモデルに移行すべきだ」とした。また、同氏は「27のEU加盟国がEUの政府機関とともに行動する時、EUは最強になるだろう」「27カ国の団結は、EUと外部パートナーの関係を成功させる鍵である。中国に対しても例外ではない」と強調した。
2012年、中国当局の主導で中東欧・バルカン諸国の16カ国と中国による経済協力枠組み「16+1」が立ち上げられた。ギリシアが19年4月に加盟し、「17+1」となった。12年以降、ほぼ毎年首脳会談が開かれている。
「17+1」は、中国当局が中東欧諸国を丸め込むための手段であり、中東欧を「足場」に欧州各国間の結束を切り崩そうと目論んでいると批判された。
ランズベルギス外相は今年3月、「17+1」は同国に「ほとんど何の利益ももたらさなかった」と発言した。同氏は、「ポリティコ」の取材に対して、他のEU各国に同枠組みから離脱すべきだと呼びかけた。
今年2月に開催された「17+1」オンライン首脳会議に、ブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、スロベニアの6カ国の首脳が出席を見送った。「17+1」が発足して以来、会議に出席した各国首脳の人数が最も少ないという事態になった。
「ポリティコ」は、リトアニアの動きは、中国当局とEUの関係が「ますます不安定になっていることを反映している」と指摘した。
リトアニア議会は20日、中国当局が新疆ウイグル自治区でウイグル人住民らに対して「ジェノサイド(大量虐殺)」を行っていると認定する決議を賛成多数で可決した。同国はオランダ、英国に続いて、欧州でジェノサイドを認定した3番目の国となった。
また、欧州議会は同日、EUは昨年末に中国当局と大筋で合意した包括的投資協定(CAI)の承認手続きを「凍結」する決議を採択した。EUが中国の人権問題をめぐって米国と歩調を合わせ、中国当局を最大の脅威と見なし始めた表れだと分析する。
(大紀元日本ウェブ編集部)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。