国連が中国当局に反体制派活動家のリストを渡していると告発した職員は10日、解雇されたことがわかった。英紙テレグラフが11日、伝えた。
報道によると、人権弁護士のエマ・ライリー(Emma Reily)氏(42)はこれまで国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に勤務していた。同氏はここ数年、OHCHRが中国人反体制派のリストを中国当局に渡していることを批判している。
同氏は、中国当局がこれらのリストを受け取った後、反体制派は国連人権理事会(UNHRC)の会合に出席できなくなっただけではなく、当局に逮捕され、拷問を受けているとの見方を示した。
ライリー氏は昨年、英メディア「ロンドン・ブロードキャスティング・カンパニー(LBC)」の取材に対し、「人権理事会で中国当局によるウイグル人への大虐殺を証言しようとした人に対して、国連は支援するのではなく、彼らの名前を中国側に知らせた」と述べた。
「中国側は、彼らに対して人権理事会の会議に出席しないよう圧力をかけた。人権理事会に出ようとする人々を拘束した」
ライリー氏は2013年から、国連が中国当局に反体制派の名簿を渡していると告発し批判している。
テレグラフ紙が入手した国連の文書では、国連は今週、ライリー氏の行動が「非常に不適切で」「国連の公式活動について、無許可で外部関係者とコミュニケーションを取った」として、同氏を解雇すると通達した。
ライリー氏は10日ツイッター上で、「(国連事務総長の)アントニオ・グテーレス氏が私の解雇を決定した。私が、国連は反体制派の名簿を中国側に渡したと告発したからだ」「名簿を中国側に渡したすべての国連職員は昇進した。これに関する調査は行われたことがない」とコメントを書き込んだ。
報道によると、国連事務総長のスポークスマンは、国連が中国当局の反体制派への弾圧を手助けしているという批判について、完全に否定した。
スポークスマンは、ライリー氏の訴えは「限られた状況の下で(会議への)参加者の名前を各国に確認するという過去の慣行によるものだ」と述べた。また、ライリー氏を解雇した理由について「すべての職員は、職員服務規程を順守しなければならないためだ」とした。
仏紙ル・モンドは9日、ライリー氏へのインタビュー記事を公開した。
同紙によれば、2013年3月~15年10月までに人権理事会が開催した6回の会議の前、中国当局は人権理事会に対して会議に出席する反体制活動家の名簿を渡すよう求めた。国連人権高等弁務官事務所のスポークスマン、ルパート・コルビル氏は、名簿を中国側に渡す慣行はあったが、「15年以降、停止した」と主張した。
ライリー氏はル・モンド紙に対して、自身が解雇されるまでこの慣行は依然として継続しており、「少なくとも口頭で」中国側に知らせていると述べた。
(翻訳編集・張哲)
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