米議会と行政の超党派委員会は、中国が台湾に侵攻した場合の対中制裁を計画・実施するパネルを設置するようバイデン政権に建議する年次報告書を発表した。制裁案には、マラッカ海峡を含むエネルギー輸送阻止につながる規制を検討することも含まれる。
専門家からなる「米中経済安全保障検討委員会(USCC)」は、台湾をめぐる戦争が勃発した際、米国が中国に抵抗できるようにするために必要な軍事態勢、兵站などに関する情報の報告を求めた。
このほか、台湾の防衛に必要な相互運用可能な能力を備えた、台湾と米国の国防当局者で構成される「共同計画メカニズム」設立も提案した。また軍資金のための基金設立も必要だと記した。
このほか、中国へのエネルギー輸送阻止を実現するためマラッカ海峡を中心とした輸送ラインの規制と実現可能な軍事要件を検討するよう求めた。
この報告書は、バイデン米大統領と習近平中国国家主席の初となる対面式会談の翌日に発表された。11月14日、バリ島で開かれた主要20カ国首脳会議(G20サミット)で、バイデン氏は習氏に対して、台湾への「強圧的で攻撃的な行動」に反対すると伝えた。
議会と政府は2000年、中国の経済的・軍事的安全保障上の脅威に対する懸念に対処するためUSCCを設立した。
USCCはまた、1999年に締結した米中通商条約を中国が順守するよう求めると政府に勧告した。報告によると、中国は優遇産業への補助金支給や知的財産の盗用容認など不公正な貿易慣行を行っている。
さらに議会に対して、米同盟国やパートナー国が中国の経済圧力を受ける場合、報復的な対中通商措置を講じる法律の制定を検討するよう求めた。
このほか、バイデン政権が提唱したインド太平洋経済枠組み(IPEF)を推進するうえで中国に物流デジタルデータが渡ることを防止するため、中国官製の国際物流情報プラットフォームである「ログインク(Logink)」を使用しないよう提言した。
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