【長尾敬氏が語る】コロナワクチン、因果関係問えない「ブラックボックス」契約 日本は製薬会社にとって「最後の市場」だった?

2023/08/13 更新: 2023/08/11

新型コロナワクチン接種後の死亡事例や後遺症について、被害を申請しても未審査のままとなり救済処置を受けられないといった問題が起きている。厚生労働分野に詳しい長尾敬前衆議院議員は取材に対し、日本政府が製薬会社と結んだ契約そのものがブラックボックスとなっており、「エビデンスが外に出せない以上、因果関係を問うことができない」と問題点を指摘した。

長尾氏はさらに、日本の「鉄のように固い」許認可制度を突破するため、欧米の製薬会社が毎日のように議員会館でロビー活動を行っていたと語る。製薬会社を中心に莫大な資金が動いており、米国では製薬会社が巨額の政治献金を行なっているという。

政府がなぜブラックボックスのような契約を結んだのか。そして、因果関係を解明する日は来るのか。私たち一人ひとりの健康と密接に関わる問題について、長尾敬氏が自身の見解を語った。

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ーー新型コロナワクチンの副作用についてどのように考えるか。

ワクチンに限らず、医薬品には必ず副反応、副作用はある。患者の方や病院、あるいは世間がどう向き合うかが重要だ。

私も昨年11月13日に顔の右側が神経麻痺になった。今も完治しておらず、こうして一生懸命話をしている。「ワクチンが原因ではないか」という意見もある。現実問題として、帯状疱疹を原因とする顔面神経麻痺が増えているという医療現場の声も聞く。さらに、若い方で杖をついている方が多い、味覚障害が出たという話も聞いたことがある。一般の方々が因果関係の有無について考えるのは当然のことだ。

しかし、ワクチンを作った創薬メーカーや政府は今後も因果関係はないということで突っ跳ねていくだろう。一番重要なのは、科学的根拠をどれほどまで炙り出せるかということだ。これから議論になると思う。

ーー創薬メーカーや政府が因果関係を認めないことについて、元厚生族の議員としてどう思うか。

コロナワクチンについて語る長尾敬前衆議院議員(大紀元)

例えば、子宮頸がんワクチンの副反応については、すごく筋肉が痛くなる、痛みがずっと残る、といったことは事前に知らされていた。しかし、子宮頸がんワクチンを打った少女たちのなかには、原因不明の症状に悩まされている方がいる。痙攣や目が暗くて見えなくなるなど、症状は皆異なる。

彼女らの共通項は、子宮頸がんワクチンを打った後に症状が出たこと。では、それらの症状とワクチンとの関係があるのかについて問われれば、医学的・科学的には証明ができないのが現状だ。

体の一部に不具合を感じつつも、現代医学のもとではレントゲン写真を撮っても原因がわからない。内臓や外傷の検査をしてもわからない。しかし、そのような症状が出ている。そして議論もそれ以上行われない。

新型コロナワクチンでも、おそらく議論は止まっていると思う。そのため、どれだけの方が死に至ったのかというようなことについても、証明するのはとても難しい。

ワクチンを打つ側にも覚悟が必要だし、打たれる側にもそれなりに覚悟が必要だと思う。だから、打ちたくなければ打たなければいい。ただあの時の世論は、一刻も早くワクチンを作ってほしい、というものだった。少々乱暴な治験もあったのかもしれない。しかしあの時の世論は、一刻も早く作ってほしいというものだった。

「だからしょうがないんだ」などと口にする気は全くない。ワクチンの副反応、副作用の問題をこのままでいいとは思っていない。何か原因はあるのだろう。

ーー解明する可能性はあるのか。

なかなか難しいと思う。創薬メーカーについては多くのことがブラックボックスになっている。日本政府と創薬メーカーとの間での契約も秘密保持契約となっており、契約内容すら明かせない。

公になっているのは、ワクチンをめぐって裁判が行われた際、責任は全て政府が持つということだ。創薬メーカー自体は免責になっている。ワクチンがきっかけで社会不安が起きた、あるいは人が亡くなった、副反応、副作用が残ったとしても、創薬メーカーは一切関知しない。

ーーそのような契約は一般的なものか。

そうだ。2009年にインフルエンザのパンデミックが日本で起きた時も、グラクソ・スミスクライン社とノバルティス・ファーマー社のインフルエンザワクチンを同じ契約で契約している。今回はモデルナやファイザー社とそのような契約を締結した。そのような内容でも、ワクチンが欲しかったという事態だ。しかし接種してみたら色々なことが発生した。「政府どないしてくれんね」という気持ちもよくわかる。

製薬会社との契約はブラックボックスと指摘されている。写真はモデルナ社のコロナワクチン
(Photo by RINGO CHIU/AFP via Getty Images)

ーーメディアや動画プラットフォームのワクチンに対する報道姿勢をどのように考えるか。

秘密保持契約の秘密を探られたくないのかもしれない。契約の中身はブラックボックスだ。本当にブラックボックスなのに、そのようなものを私たちは求めていた。そして注射していた。そして日本政府はその中身について公開できない。

もちろん、「副反応、副作用が出たときに責任取れないようなワクチンはいらない」と断ることもできた。しかし断れないような、世論の流れがあるのだと思う。

これはあくまで私の想像で、邪推と言われるかもしれないが、副反応の一覧表が出されているのかもしれない。しかも絶対は外に漏らすことができないもので、それらの副反応が原因で訴訟になっても会社は一切ノータッチだという内容かもしれない。いずれにせよ、政府は詳細を明かせないという秘密保持契約となっている。

ワクチンに関するエビデンスが外に出せない以上、因果関係を問うことができない。そのため、契約そのもので、すでに結論が出てしまっているように感じる。これは非常に冷酷な話だ。

ーー医療ではインフォームドコンセントの原則が掲げられているが、ワクチンには適用されないのか。

あくまで個人の想像だが、契約書の中のブラックボックスの部分に、表に出せるのはこれこれの副反応だけである、のような事柄が書いてあるのかもしれない。もしくは、そのようなことすら公開していないのかもしれない。例えば、どのような副反応があるのか聞かれても答えてはいけない、という契約だったのかもしれない。副反応などがリスト化されている契約かもしれない。いずれにせよ、表に出ることはない。

そのような背景もあり、創薬メーカーを中心に莫大な資金が動いているのだろう。世界的な市場で見れば、自動車産業以上ではないか。日本国内でもおそらく創薬メーカーの市場の規模のほうが大きいと思う。もちろん、どこまでの企業を含めるかによって分母は違ってくる。

米国における創薬メーカーの政治献金は莫大な額となっている。欧州の創薬メーカーや米国の創薬メーカーがほぼ毎日議員会館に来て、私たち厚生労働族の議員に会うために動いている。

衆議院第一議員会館(Wenliang Wang/大紀元)

ーー毎日という頻度なのか。

毎日、誰かに会っている。私自身、ファイザー社のCEOに何度も面会したことがある。つまり日本は最後の市場なのだ。これでも日本は、なかなか新薬を認可しない、お固いお固い、鉄のように固い場所だというのが、欧米の認識だ。

創薬メーカーにとって、他の地域の市場が飽和すれば、日本は最後の市場のように見えるだろう。もちろん、日本が本当に最後の市場かは定かではないにせよ、認可を突破すれば大きな売り上げを期待できると考えられている。

そのような事実があるため、(ワクチン報道を検閲する)YouTubeやマスコミは、創薬メーカーの「闇の部分」を報道するのが難しいのかもしれない。

厚生労働族ではあるものの、専門分野は制度であり、医薬品については専門外だ。そのため詳細についてはよくわからない。ただ、色々な創薬メーカーの方々が、「意見を伺いたい」ということで挨拶に来ていたことは事実だ。

(了)

政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。