中国の全国人民代表大会(全人代)の開幕を5日に控えるなか、現地で取材する外国人記者の間では動揺が広がっている。取材中のカメラマンを押し倒す、取材チームの車両を追跡するといった中国警察の「嫌がらせ」は増える一方だ。記者協会は1日に声明文を発表し、「報道の自由」を侵害しないよう求めた。
中国に駐在する外国人記者からなる「駐中国外国人記者協会(FCCC)」は1日の声明文で、「中国全土で(取材に対する)嫌がらせや妨害が増えているとの報告がある」と指摘。四川省成都市で発生した取材への当局の妨害行為にい懸念を示した。
声明文によると、妨害を受けたのはオランダの放送局「NOS」。記者が経営問題が取り沙汰されている四川信託銀行の顧客や投資家らによる抗議活動を取材しようとしたところ、警察官と名乗る男によって地面に押し倒され、所持品を取り上げられた。
カメラマンは録画を続けていたが、私服警官と制服警官の双方に囲まれ、録画を継続することができなくなった。記者は中国当局が発行した記者証を提示したものの、パトカーに押し込まれ、地元の警察署に連行された。
大使館員が数時間後に到着し、取材班は解放されたが、その後もパトカーによる追跡は続いたという。
3月1日の中国外交部定例記者会見では、毛寧報道官がオランダ人記者が受けた扱いについて問われると「具体的な状況は分からない」と述べた。さらに「中国は常に法律に基づいて外国メディアの正当な権利と利益を保護し、取材に便宜を図ってきた」と主張した。そして、外国人記者は「中国の法律と規制を遵守すべきだ」とした。
FCCCは同日の声明文で「成都で最近発生した、取材中のオランダ人ジャーナリストが受けた扱いに非常に動揺している」「当局に対し、自らの約束を守り、国内で取材するすべての外国人ジャーナリストの安全と取材の権利を守るよう求める」と綴った。
一連の事件を受けて、中国本土のメディア関係者は、外国人記者は高いリスクに直面していると懸念を示した。
大紀元の取材に応じた北京在住のジャーナリスト劉華さん(仮名)は、中国経済が不調に陥り、社会問題が表面化するなか、現地で取材を行う外国人記者は「リスクの高い職種だ」と語った。
「中国共産党は、国内メディアを含め、中国のひどい現状を報道されたくないのだ。毛寧氏の回答を信じてはならない。中国共産党は常に報道を抑圧するためにあの手この手を尽くしてきた」
同じくジャーナリストの張天さん(仮名)は大紀元に対し、「今回の事件は始まりに過ぎない。外国人記者に対する扱いが良くなることはないだろう」と語った。
また、張さんによると、今年の全人代の取材現場ではアジアやアフリカ、ラテンアメリカといった発展途上国の記者が目立っている。彼らは毎日中国共産党から補助金をもらっており、接待を受けることもあるという。
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