3月29日、中国人男性のアリペイ(Alipay)アカウントが無断で臓器ドナー登録されていたという動画が投稿され、Xで拡散した。
アリペイはアリババグループが提供するスマホ決済サービスで、動画で男性は「本当に怖い」と声を上げ、人々に自分のアリペイの個人情報の許可設定に同様の登録が追加されていないか確認するよう呼びかけている。
男性がアリペイを確認したところ、日常的に使うアイテムや健康コード、行程コード(直近14日間で訪問した都市、国・地域の履歴を管理するコード)に加えて、ドナー登録がされているのに気づいた。
彼は、「私はこんな登録をした覚えはない。自分が臓器提供をするかどうかはよく分かっている。私は登録していない。なぜなら、臓器提供に関しては色々な説が多く、皆さんも自分で調べてみるといい」と述べた。
彼はドナー登録が2022年6月11日にされたことに気づき、すぐに自分のSNSを確認した。また、登録が夜の10時に行われたことにも気づき、「誰が夜中に臓器ドナーの登録なんてするんだ?」と怒りをあらわにしている。
男性は動画で、自分が意図せずに臓器ドナーに登録された4日前の6月7日に、広州市で健康診断を受けたことに言及した。
彼は、「このようなことが起きた後、将来自分がどれほど安全か分からなくなる」と述べた。そして、人々に対し、アリペイの「設定」から「プライバシー」に進み、「個人情報の認証」をチェックして、臓器ドナーに登録されていないかを確認するよう、強く勧めた。もし登録されていた場合は、直ちに登録を解除してくださいと語った。
現在、アリペイの利用は中国大陸全域に広がり、中国人の支払い手段としては、ほぼ唯一無二の存在となっている。中国を訪れた外国人でさえもアリペイがなければ移動が困難という状況だ。
中国共産党(中共)が国民の個人情報を取得することは容易だ。時事評論家の顔丹氏は、もしアリペイユーザー一人ひとりの「個人情報の承認」欄に、突如「臓器提供ボランティアサービスネットワーク」という項目が加わり、名前や身分証明書番号、血液型などの情報が収集された後、それがアリペイ内の「公益アカウント」に臓器ドナーの登録情報として同期されたらどうなるだろうかと指摘した。
顔氏は、「今、一人のアリペイユーザーが臓器提供リストに登録されていることが明らかになった。明日には数百万人のユーザーが同様に登録されるかもしれない」
「国民全員がアリペイを使い、国民全員が臓器狩りのために拉致されるリスクにさらされている。中共による恐ろしい臓器移植政策は、すでに実行されている」と述べている。
データ改ざん
国際的な臓器提供・移植のデータベースであるIRODaT(International Registry on Organ Donation and Transplantation)の人口100万人当たりの臓器提供者の国際比較(2022年)では、臓器提供者数が最も多いのがスペインで46.03人。次いでアメリカが44.50人、フランス24.70人、イギリス21.08人だった。
2022年、中共の官製メディアは「中国臓器移植発展報告(2020)」を引用して、中国本土の「人口100万人あたりに換算した全ドナー件数(PMP)」が2015年の2.01から2020年の3.70に増加したと報じた。
提供率については、中共のデータが国際基準に達しているように見えるが、ドナー数ランキングの場合、中共の国営メディアは、中国の「臓器提供と移植の件数が世界で第2位」と主張している。これは明らかな嘘だ。
2023年のスペインの臓器移植手術件数が5861件にとどまった。一方で、中共の公式データでは、1万7897件の移植手術が実施された。
顔氏は「中国共産党がこのような虚偽を平然と述べるのは、『簡体字の世界』でのみ情報を操作すれば、他国からの干渉を受けないという計算があるからだ」と見ている。
しかし、最も重要なのは、「巨大で衝撃的な『移植件数』を正常かつ合理的に見せるためだ」と指摘した。
顔氏によれば、中国大陸では、「脳死亡」が法律で定められていない。心肺死なら、多くの臓器は移植に使えないため、非合法な脳死移植が大陸の公立病院で堂々と行われている。
中国臓器狩り問題
近年、中国では「臓器狩り」という国家ぐるみの犯罪行為が行われているとの研究報告が数多く発表されている。しかし、中共の圧力により、ほとんど報道されていない。
「臓器狩り」とは、ドナーの同意を得ることなく、生きたまま臓器を強制的に摘出し、移植用に販売することで暴利を貪ることだ。
中共の「臓器狩り」の対象とされているのは、チベット人やウイグル人、キリスト教徒などとされているが、最大の対象は法輪功の学習者だ。
近年では、自国民である中国人までも「臓器狩り」の対象とされている可能性が濃厚になっている。中国本土で青少年の失踪事件が相次いでいる。特に注目されているのは江西省鉛山県の致遠中学(高校に相当)1年、胡鑫宇さんの失踪事件だ。
2022年10月、15歳の胡鑫宇さんが中国南部の江西省にある寄宿学校から失踪した。2023年1月28日、学校近くの森の中で変死体となって発見された。警察は、本人の意思による「首吊り自殺」と断定し、強引に幕引きをはかる記者会見まで行った。
しかし、遺体発見時の状況証拠などに矛盾点が多いことから、真実を隠蔽しようとする地元警察ぐるみの、臓器売買目的をふくむ「他殺」の疑いが濃厚であるとみられている。
巷では、失踪する直前に健康診断を受けた胡鑫宇さんが、中共高官の臓器移植のドナーにされたのではないかと疑われている。
昨年12月にも、広東省のある大学で、校内で突然倒れた男子学生がいたが、病院に運んで救命措置を施すのではなく、家族の同意なしに直接火葬場へ送られ、その日のうちに遺体を火葬する事件が起きた。
多くの不可解な点が存在するこの事件も、「第2の胡鑫宇ではないか」といった「臓器狩り」を疑う声が広がっている。
今年2月、広東省の公式発表によると、2023年12月4日の午前9時頃、八甲中学の廖剛漢さんがクラスメイトと口論の末に暴行を受け、病院に運ばれた。19日後、病院は廖さんが脳死状態にあると判断し、家族に臓器提供を勧めた。医師によると、彼の臓器は少なくとも7人の命を救ったと言う。
ここ2年の間に、中国本土の若者が道での事故や喧嘩で怪我をし、病院に搬送された後、すぐに脳死と診断され、親が子供の臓器を移植を必要とする患者に提供したと、あたかも善意のドナーからの美談であるかのように、官製メディアによって声高に報じられている。しかし、これらは全て「中共が行っている臓器狩りと関係があるのではないか」という疑いの声が広がっている。
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