中国・陝西省韓城市(かんじょう-し)の政府主導の「民間借貸センター」が8月に支払い不能に陥り、約11億元(約240億円)の住民資産が戻らないまま宙づりになっている。
生活資金を失った住民が11月10日に市政府前で抗議したところ、警察が大量に投入され、連行者や負傷者まで出る混乱となった。
同センターは2014年に政府主導で設立され、市長や複数の行政部門が関わっていたため、住民の間では事実上「政府が保証する安心な投資先」と受け止められていた。
地元紙『韓城日報』も「安心で安全」「利回りが高い」「政府が全面的に監督している」と繰り返し宣伝し、子どもの学費や老後資金を預けた住民の例まで紹介した。月利8%という高い利回りが「官製の信用」と結びつき、投資者は2200人以上に膨らみ、多くの50代以上の住民が老後資金や結婚資金、創業資金まで投入していた。

しかし今年8月、突然利息が入らず元本も返らない状態となり、資金繰りが事実上崩壊した。政府は「接収管理した」「解決策を出す」と繰り返し説明したが、返金は一円も進んでいない。
投資者によれば「毎週進捗を説明する」との約束も守られず、問い合わせに行っても担当者が出てこない状態が続くという。さらに最近は派出所や地元政府から「集まるな」「待て」と電話が入るようになり、行動やSNSが監視されていると訴える声もある。
返金のめどは立たず、老後資金や学費、結婚資金まで失った住民は、日々の支払いすら危うい状況に追い込まれている。

高齢の投資者には「このお金が戻らなければ生きていけない」と泣き崩れる人もいる。ある住民は「政府が作り政府が宣伝した場所なのに、責任を取らない。積み立ててきた人生そのものが奪われた」と語り、希望どころか明日の生活の見通しすら立たない現状を訴えている。
住民が市政府前で抗議した際の実際の映像はこちら(クリック)。警察が大規模に動員され、住民の連行や負傷者まで発生した緊迫した状況が記録されている。

ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。