11月9日夜、中国広東省広州市で開催された「第15回全国運動会」の開会式で、官製メディアは一斉に「花火ショー」を放送した。
しかしほとんどの官製メディアが、映像をただ「キレイ」と持ち上げるだけで、それが実は「AIで作られた仮想花火」であることをあえて隠していたため、後に真相を知った市民から強い反発が上がっている。
テレビには広州市の市花・木棉花(もくめんか・キワタ)の花を模した巨大な花火まで映し出され、多くの視聴者が本物だと信じ込んだ。しかし実際の夜空は真っ暗で、SNSには「だまされた」「気分が悪い」といった声が相次ぎ、派手なテレビ映像と窓の外の静かな夜空を並べた動画で当局の偽装を批判する住民も続出した。
(AI花火が放映された開会式映像と、静まり返った実際の会場。2025年11月9日、広州)
実はこうした「AI花火」は今回が初めてではない。2023年の杭州アジア大会でも、当局は「壮観な花火ショー」を宣伝しながら、AI合成の花火映像であることを隠していた。当時も多くの人が現地に見に行ったが、待っていたのは真っ暗な夜空だけだった。
AI合成の花火映像と、実際は真っ暗だった現地の様子。2023年、杭州アジア大会(動画よりスクリーンショット)
財政難の中、実物を使った演出を避けるためにAI映像を「本物の花火ショー」として宣伝し続ける中国共産党(中共)。当局の虚構体質に、市民の不信と反発はますます強まっている。
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